特異な再発形式を来した大腸癌門脈腫瘍栓の1例
症例は42歳の男性で,S状結腸癌に対し腹腔鏡補助下左半結腸切除術を施行した.病理組織学的検査は中分化型管状腺癌でpSE,ly1,v0,pN2,sH0,cP0,cM0,stage IIIbであった.本人の意向にて術後補助化学療法は行わなかった.術後2年の腹部CTにて膵背側の軟部組織陰影,およびこれと連続する脾静脈内の腫瘍栓を認めた.18FDG-PET-CT所見でもFDG集積亢進を認め,また門脈本幹への急激な腫瘍進展を来したため,大腸癌再発もしくは原発性膵癌を疑い膵体尾部切除術を施行した.膵体尾部背側の腫瘍が十二指腸上行部に浸潤し,また脾静脈から門脈内まで腫瘍栓が充満していたため,門脈および十二指...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 51; no. 3; pp. 228 - 233 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2018
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2017.0046 |
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Summary: | 症例は42歳の男性で,S状結腸癌に対し腹腔鏡補助下左半結腸切除術を施行した.病理組織学的検査は中分化型管状腺癌でpSE,ly1,v0,pN2,sH0,cP0,cM0,stage IIIbであった.本人の意向にて術後補助化学療法は行わなかった.術後2年の腹部CTにて膵背側の軟部組織陰影,およびこれと連続する脾静脈内の腫瘍栓を認めた.18FDG-PET-CT所見でもFDG集積亢進を認め,また門脈本幹への急激な腫瘍進展を来したため,大腸癌再発もしくは原発性膵癌を疑い膵体尾部切除術を施行した.膵体尾部背側の腫瘍が十二指腸上行部に浸潤し,また脾静脈から門脈内まで腫瘍栓が充満していたため,門脈および十二指腸も合併切除した.腫瘍は中分化型腺癌であり原発巣に類似していた.播種再発から脾静脈に直接浸潤し門脈腫瘍栓を形成した極めてまれな1例を経験した. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2017.0046 |