腸腰筋浸潤を伴う進行虫垂粘液囊胞腺癌に対し根治切除を施行した1例

症例は52歳の男性で,腹部膨満感を主訴に前医を受診した.造影CTで盲腸から右大腰筋,腸骨筋に連続する5 cm大の囊胞性腫瘍を認めた.下部消化管内視鏡検査で盲腸に隆起性病変を認め,生検結果は腺癌であった.虫垂粘液囊胞腺癌,右腸腰筋浸潤と診断され,化学療法の方針となったが手術の希望があり,当院紹介となった.手術は回盲部切除,右大腰筋,右腸骨筋,右大腿神経の合併切除を施行した.病期はpT4b,pN0,pM0,pStage II(大腸癌取扱い規約第8版)であった.術後,右膝関節の伸展障害を認めたが,装具着用,リハビリテーションにて歩行・運動が可能となった.術後20か月間,無再発生存中である.隣接臓器浸...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 50; no. 9; pp. 754 - 761
Main Authors 内藤, 剛, 金原, 圭吾, 石田, 晶玄, 大沼, 忍, 唐澤, 秀明, 渡辺, 和宏, 工藤, 克昌, 元井, 冬彦, 海野, 倫明, 佐藤, 聡子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2017
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2016.0158

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Summary:症例は52歳の男性で,腹部膨満感を主訴に前医を受診した.造影CTで盲腸から右大腰筋,腸骨筋に連続する5 cm大の囊胞性腫瘍を認めた.下部消化管内視鏡検査で盲腸に隆起性病変を認め,生検結果は腺癌であった.虫垂粘液囊胞腺癌,右腸腰筋浸潤と診断され,化学療法の方針となったが手術の希望があり,当院紹介となった.手術は回盲部切除,右大腰筋,右腸骨筋,右大腿神経の合併切除を施行した.病期はpT4b,pN0,pM0,pStage II(大腸癌取扱い規約第8版)であった.術後,右膝関節の伸展障害を認めたが,装具着用,リハビリテーションにて歩行・運動が可能となった.術後20か月間,無再発生存中である.隣接臓器浸潤を伴う局所進行虫垂粘液囊胞腺癌に対する初回治療としての化学療法のエビデンスは乏しく,根治切除可能と判断できれば,拡大手術療法は有効な治療選択肢の一つであると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2016.0158