肝切除後短期間で再発し,その後急速に進行して死亡した成人発症の肝未分化肉腫の1例

症例は42歳の女性で,右季肋部痛の精査目的に当院紹介となった.腹部CTで肝S5/6から尾側へ突出する8×6 cmの腫瘍を認め,内部は淡く造影される充実成分と,隔壁を伴った造影効果の乏しい囊胞成分が混在していた.MRIでも充実成分と液体成分が混在する腫瘍であった.PET-CTでは,他臓器に悪性を疑う病変はなく,肝原発肉腫の診断で腫瘍を含めた肝部分切除を施行した.結腸への浸潤を疑う所見があり,合併切除した.病理組織学的検査で,一部横紋筋への分化を伴う肝未分化肉腫と診断した.術後第42病日のCTで残肝再発,腹膜播種を認め,doxorubicin,pazopanibを用いた化学療法を行ったが効果なく急...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 5; pp. 409 - 417
Main Authors 早川, 俊輔, 早川, 哲史, 安田, 顕, 野々山, 敬介, 山本, 稔, 田中, 守嗣, 藤幡, 士郎, 北上, 英彦, 渡部, かをり, 清水, 保延
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2016
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2015.0097

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Summary:症例は42歳の女性で,右季肋部痛の精査目的に当院紹介となった.腹部CTで肝S5/6から尾側へ突出する8×6 cmの腫瘍を認め,内部は淡く造影される充実成分と,隔壁を伴った造影効果の乏しい囊胞成分が混在していた.MRIでも充実成分と液体成分が混在する腫瘍であった.PET-CTでは,他臓器に悪性を疑う病変はなく,肝原発肉腫の診断で腫瘍を含めた肝部分切除を施行した.結腸への浸潤を疑う所見があり,合併切除した.病理組織学的検査で,一部横紋筋への分化を伴う肝未分化肉腫と診断した.術後第42病日のCTで残肝再発,腹膜播種を認め,doxorubicin,pazopanibを用いた化学療法を行ったが効果なく急速に進行し,第89病日に死亡した.肝未分化肉腫は主に小児に発生する肝原発間葉系悪性腫瘍で,成人にはまれな疾患である.予後は不良であり,その改善には化学療法を含めた集学的治療法の確立が必要であると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2015.0097