メシル酸イマチニブの副作用である下痢に半夏瀉心湯が有効であった一例
慢性骨髄性白血病の治療においては,BCR/ABLチロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマチニブが第一選択薬として用いられている。同剤の副作用として,血液毒性,肝障害,浮腫・体液貯留,消化器症状,皮膚症状などが知られている。今回,副作用の一つである下痢に対し,半夏瀉心湯が有効であった症例を経験した。症例は61歳女性。2004年4月,慢性骨髄性白血病と診断。メシル酸イマチニブによる治療により同年10月には寛解し,その後,メシル酸イマチニブ400mgを服用していた。治療開始後,1日4-5回の下痢が続いているため,2005年6月当科初診。半夏瀉心湯服用により4週間後には,1日2回の軟便となり,8週間後...
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Published in | 日本東洋医学雑誌 Vol. 59; no. 5; pp. 727 - 731 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本東洋医学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-4857 1882-756X |
DOI | 10.3937/kampomed.59.727 |
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Summary: | 慢性骨髄性白血病の治療においては,BCR/ABLチロシンキナーゼ阻害剤であるメシル酸イマチニブが第一選択薬として用いられている。同剤の副作用として,血液毒性,肝障害,浮腫・体液貯留,消化器症状,皮膚症状などが知られている。今回,副作用の一つである下痢に対し,半夏瀉心湯が有効であった症例を経験した。症例は61歳女性。2004年4月,慢性骨髄性白血病と診断。メシル酸イマチニブによる治療により同年10月には寛解し,その後,メシル酸イマチニブ400mgを服用していた。治療開始後,1日4-5回の下痢が続いているため,2005年6月当科初診。半夏瀉心湯服用により4週間後には,1日2回の軟便となり,8週間後には普通便となった。メシル酸イマチニブは,慢性骨髄性白血病寛解維持のために継続的に服用することが望ましいとされている薬剤である。漢方薬を併用することで治療が継続可能となったことは,東西医学の融合という観点からも意義深いと考えられる。 |
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ISSN: | 0287-4857 1882-756X |
DOI: | 10.3937/kampomed.59.727 |