男性に発症し再発を5回繰り返したsolid-pseudopapillary neoplasmの1例
症例は84歳の男性で,25年前膵体部に巨大な囊胞性病変に対し脾温存尾側膵切除術を施行され,病理組織学的検査所見でsolid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)と診断された.その後初回手術から7年,10年,11年,20年後に再発を繰り返し,その度に腫瘍切除術を施行された.4度目の手術から2年後(初回手術から22年後)に食後の腹部膨満感を訴え精査を施行,膵断端近傍に多房性分葉構造の約10 cm大の腫瘤と,膵体部に径1 cmの囊胞性腫瘤を認めた.SPNの再発と診断し膵体部切除,腫瘍摘出,脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査所見では形態学的に均一な上皮性腫瘍細胞が...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 293 - 300 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2015.0049 |
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Summary: | 症例は84歳の男性で,25年前膵体部に巨大な囊胞性病変に対し脾温存尾側膵切除術を施行され,病理組織学的検査所見でsolid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)と診断された.その後初回手術から7年,10年,11年,20年後に再発を繰り返し,その度に腫瘍切除術を施行された.4度目の手術から2年後(初回手術から22年後)に食後の腹部膨満感を訴え精査を施行,膵断端近傍に多房性分葉構造の約10 cm大の腫瘤と,膵体部に径1 cmの囊胞性腫瘤を認めた.SPNの再発と診断し膵体部切除,腫瘍摘出,脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査所見では形態学的に均一な上皮性腫瘍細胞が偽乳頭状に配列しており,免疫染色検査でβ-catenin,CD10に陽性でSPNに矛盾のない所見であった.本症例のように局所再発を繰り返した症例の報告は検索しえたかぎりなく,極めてまれと思われたので報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2015.0049 |