ブラッドアクセスとして浅大腿動脈に人工血管による 動脈-動脈ループを作製した1例

要 旨:症例は69歳の女性。6年前から糖尿病性腎症による腎不全の診断を受けて血液透析を開始されたが,上肢の静脈が細く内シャントの閉塞を反復してきた。また,連合弁膜症によるNYHA III度の心不全と虚血性心筋障害を有しており,新規の内シャントの造設による心不全の増悪も懸念された。このため左浅大腿動脈で人工血管による動脈-動脈ループ(arterioarterial prosthetic loop; AAPL)を局所麻酔下に作製した。手術から約6カ月で死亡したが,血液透析に関連した合併症はみられなかった。局所麻酔下,平易な手技により血液透析用アクセスが得られ,本術式はうっ血性心不全を呈し,動脈表在...

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Published in脈管学 Vol. 52; no. October; pp. 337 - 341
Main Authors 目黒, 昌, 平原, 浩幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脈管学会 10.10.2012
Subjects
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ISSN0387-1126
1880-8840
DOI10.7133/jca.52.337

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Summary:要 旨:症例は69歳の女性。6年前から糖尿病性腎症による腎不全の診断を受けて血液透析を開始されたが,上肢の静脈が細く内シャントの閉塞を反復してきた。また,連合弁膜症によるNYHA III度の心不全と虚血性心筋障害を有しており,新規の内シャントの造設による心不全の増悪も懸念された。このため左浅大腿動脈で人工血管による動脈-動脈ループ(arterioarterial prosthetic loop; AAPL)を局所麻酔下に作製した。手術から約6カ月で死亡したが,血液透析に関連した合併症はみられなかった。局所麻酔下,平易な手技により血液透析用アクセスが得られ,本術式はうっ血性心不全を呈し,動脈表在化や透析カテーテルの使用が困難な症例において選択肢の一つとして考慮し得る。
ISSN:0387-1126
1880-8840
DOI:10.7133/jca.52.337