広島大学病院歯科保存診療科紹介患者の実態調査
目的:2015年から,広島大学病院歯科保存診療科への患者紹介率は年々増加している.本研究では,地域歯科医院から当科への紹介患者を受け入れる体制の充実を図るために,紹介患者の実態を調査した. 方法:2023年6月1日から2024年5月31日までの12カ月間に,地域歯科医院から当科宛の紹介状を持参した患者(292名,年齢:中央値(四分位範囲):50(39~60))を対象とし,紹介状と当科の診療録から医療情報を収集した. 結果:診断・治療目的で紹介された総歯数は373歯であり,そのうち,患者が症状の改善などを最も優先的に訴えた292歯(患者1名当たり1歯)において,紹介元と当科における診断はほぼ一致...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 68; no. 1; pp. 16 - 22 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
28.02.2025
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Subjects | |
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ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.68.16 |
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Summary: | 目的:2015年から,広島大学病院歯科保存診療科への患者紹介率は年々増加している.本研究では,地域歯科医院から当科への紹介患者を受け入れる体制の充実を図るために,紹介患者の実態を調査した. 方法:2023年6月1日から2024年5月31日までの12カ月間に,地域歯科医院から当科宛の紹介状を持参した患者(292名,年齢:中央値(四分位範囲):50(39~60))を対象とし,紹介状と当科の診療録から医療情報を収集した. 結果:診断・治療目的で紹介された総歯数は373歯であり,そのうち,患者が症状の改善などを最も優先的に訴えた292歯(患者1名当たり1歯)において,紹介元と当科における診断はほぼ一致していた.当科で根管治療が必要となった歯数は207歯で,大部分は上下顎大臼歯(68.1%)であった.「治療経過不良と治療の困難性」によって紹介された歯数は155歯で,全体の74.9%を占めた. 考察:歯科用コンビームCTやマイクロスコープ等の導入によって根管内部の可視化や三次元的な根管・歯根・歯根周囲組織の把握が可能になることから,より高度な歯内治療を患者に提供するために,当科の紹介率が増加しているのではないかと推察する. 結論:地域歯科医院から難治症例(特に上下顎大臼歯の難治症例)を受け入れるためには,高度な歯内治療を専門的に実践できる歯科医師の育成とその数の増加が必要である. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.68.16 |