COVID-19流行極期の発熱外来受診患者にみられた帯状回ヘルニアを合併した硬膜外膿瘍の1例

COVID-19流行極期の発熱外来受診患者にみられた脳ヘルニアを合併した頭蓋内硬膜外膿瘍の1例を経験した。症例は15歳の男児。頭痛, 発熱を主訴に発熱外来を独歩で受診した。来院時, 発熱外来を受診した軽症のCOVID-19感染が疑われる患者は鼻咽頭拭い検査を施行し, 自宅で結果の連絡を待つ方針としていたが, 本症例では発熱期間が長かったことから他疾患の可能性も考慮して血液検査を施行した。その結果, 炎症所見が異常高値であったためさらなる精査目的に胸部CT, 頭部CT検査を施行したことで, 頭蓋内硬膜外膿瘍とそれによる脳ヘルニアが発見された。緊急開頭膿瘍除去術および内視鏡下鼻副鼻腔手術3型施行後...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 340 - 342
Main Authors 西嶋, 瞭, 北薗, 雅敏, 佐藤, 秀貴, 工藤, 小織, 桒本, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 28.12.2023
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Summary:COVID-19流行極期の発熱外来受診患者にみられた脳ヘルニアを合併した頭蓋内硬膜外膿瘍の1例を経験した。症例は15歳の男児。頭痛, 発熱を主訴に発熱外来を独歩で受診した。来院時, 発熱外来を受診した軽症のCOVID-19感染が疑われる患者は鼻咽頭拭い検査を施行し, 自宅で結果の連絡を待つ方針としていたが, 本症例では発熱期間が長かったことから他疾患の可能性も考慮して血液検査を施行した。その結果, 炎症所見が異常高値であったためさらなる精査目的に胸部CT, 頭部CT検査を施行したことで, 頭蓋内硬膜外膿瘍とそれによる脳ヘルニアが発見された。緊急開頭膿瘍除去術および内視鏡下鼻副鼻腔手術3型施行後, 抗菌薬を8週間投与し, 合併症なく退院した。発熱外来を独歩受診したとしても臨床学的に違和感があれば積極的に精査することを躊躇しないことが重要だと再認識した症例であった。また, COVID-19感染症による血栓形成リスクが頭蓋内硬膜外膿瘍の発生に関係するかは今後さらなる症例の集積が必要である。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.44.4_340