オープンデータを用いた北海道における専門的緩和ケアの地理的アクセシビリティの検討

目的:本研究の目的は,北海道における専門的緩和ケア提供施設の患者カバー率を含む地理的アクセシビリティを検討することである.方法:データは人口動態統計と国土数値情報を用いた.北海道の死亡統計からMurtaghらの報告を用いて,がん患者および非がんを含む緩和ケアの必要な患者を推計し,専門的緩和ケア提供施設における16 km範囲のカバー率や施設までの距離および時間を分析した.結果:16 km範囲における専門的緩和ケアを提供する病院を支点としたがん患者のカバー率は77.2%であった.在宅緩和ケア施設を支点とした非がんを含む患者のカバー率は83.2%であった.専門的緩和ケアを提供する最寄りの病院に,がん...

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Published inPalliative Care Research Vol. 20; no. 1; pp. 71 - 79
Main Authors 大日方, 裕紀, 富樫, 慎太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緩和医療学会 2025
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ISSN1880-5302
DOI10.2512/jspm.20.71

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Summary:目的:本研究の目的は,北海道における専門的緩和ケア提供施設の患者カバー率を含む地理的アクセシビリティを検討することである.方法:データは人口動態統計と国土数値情報を用いた.北海道の死亡統計からMurtaghらの報告を用いて,がん患者および非がんを含む緩和ケアの必要な患者を推計し,専門的緩和ケア提供施設における16 km範囲のカバー率や施設までの距離および時間を分析した.結果:16 km範囲における専門的緩和ケアを提供する病院を支点としたがん患者のカバー率は77.2%であった.在宅緩和ケア施設を支点とした非がんを含む患者のカバー率は83.2%であった.専門的緩和ケアを提供する最寄りの病院に,がん患者が到達する時間の平均は9.7分から197.0分と地域差があった.考察:本研究により専門的緩和ケアの地理的アクセシビリティを明らかにした.今後は専門的緩和ケアの提供の均てん化のために,医療施設の最適配置や連携の必要性が示唆された.
ISSN:1880-5302
DOI:10.2512/jspm.20.71