ファクトリーオートメーション部品を利用した研究用途向け3Dフードプリンター
近年,食品工学の分野において3Dフードプリンティング(3DFP)が大きな注目を集めている.3DFP技術の発展には,基礎および応用研究に使用可能な機能を備えた造形装置の整備が不可欠である.本研究では,市販プリンターやRepRapプロジェクトに基づく装置とは異なるアプローチとして,ファクトリーオートメーション(FA)部品を用いて3Dフードプリンターを構築する手法を検討した.開発した装置には,シリンジベースのエクストルージョン方式を採用し,様々な食品ペースト素材の造形に対応した.印刷ヘッドの水平移動にベルトプーリー駆動機構を,印刷ステージの上下移動にはリードスクリュー機構を用いた.エクストルーダーに...
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Published in | 日本食品工学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 51 - 71 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本食品工学会
15.06.2025
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Subjects | |
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ISSN | 1345-7942 1884-5924 |
DOI | 10.11301/jsfe.24662 |
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Summary: | 近年,食品工学の分野において3Dフードプリンティング(3DFP)が大きな注目を集めている.3DFP技術の発展には,基礎および応用研究に使用可能な機能を備えた造形装置の整備が不可欠である.本研究では,市販プリンターやRepRapプロジェクトに基づく装置とは異なるアプローチとして,ファクトリーオートメーション(FA)部品を用いて3Dフードプリンターを構築する手法を検討した.開発した装置には,シリンジベースのエクストルージョン方式を採用し,様々な食品ペースト素材の造形に対応した.印刷ヘッドの水平移動にベルトプーリー駆動機構を,印刷ステージの上下移動にはリードスクリュー機構を用いた.エクストルーダーにノズルパージおよびリトラクション機能を付加することにより,高粘度かつ圧縮性のある食品ペーストを安定的に吐出できることを確認した.米粉ペースト,クリームチーズ,ジャガイモデンプンゲルを用いた成形試験により,開発した装置が,研究用途として十分な精度が得られることを確認した.機械・電気部品の合計費用は約39万円,設計および組立に要した時間はそれぞれ約80時間,40時間であった.本装置は,3DFPにおける研究を推進するための実用的な手段として,研究者に新たな選択肢を提供するものである. |
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ISSN: | 1345-7942 1884-5924 |
DOI: | 10.11301/jsfe.24662 |