咽喉頭撮影におけるイオトロラン300 (SHL 437 A) の有用性の検討

咽喉頭撮影は嚥下機能検査, 喉頭部病変の診断に有用な検査法であり, 気管支内に流入しても安全な造影剤が必要である. 従来は造影剤にディオノジールが使用されていたが, 製造・販売中止のためこれに替わる造影剤が求められている. われわれは, 咽喉頭撮影用造影剤として浸透圧濃度が体液と等張で, 化学毒性および局所刺激性が弱い特徴を持つイオトロラン300に注目し, 誤嚥の恐れのある患者61例を対象に本剤の安全性および有用性を検討した. コントラストは良好であり, 嚥下動態, 誤嚥などの造影所見が得られ, 嚥下訓練などのリハビリの方針決定, あるいは手術の必要性, 手術法の選択などの有用な情報が得られた...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 43; no. 3; pp. 318 - 325
Main Authors 小路丸, 篤, 柳原, 尚, 西尾, 正道, 井上, 鐵三, 梅崎, 俊郎, 山下, 弘之, 森, 一功, 三富, 夏彦, 平野, 実, 新美, 成二, 進, 武幹, 柳内, 統, 田山, 二朗, 唐帆, 健浩, 小宮山, 荘太郎, 森, 敏裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.05.1997
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.43.3_318

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Summary:咽喉頭撮影は嚥下機能検査, 喉頭部病変の診断に有用な検査法であり, 気管支内に流入しても安全な造影剤が必要である. 従来は造影剤にディオノジールが使用されていたが, 製造・販売中止のためこれに替わる造影剤が求められている. われわれは, 咽喉頭撮影用造影剤として浸透圧濃度が体液と等張で, 化学毒性および局所刺激性が弱い特徴を持つイオトロラン300に注目し, 誤嚥の恐れのある患者61例を対象に本剤の安全性および有用性を検討した. コントラストは良好であり, 嚥下動態, 誤嚥などの造影所見が得られ, 嚥下訓練などのリハビリの方針決定, あるいは手術の必要性, 手術法の選択などの有用な情報が得られた. 誤嚥を認めた43例を含む全例に肺炎や発熱などの副作用は認められなかつた. イオトロラン300は, 安全で有用な咽喉頭撮影用造影剤である.
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.43.3_318