Ejnell法による声門開大術後の音声機能

Ejnell法による声帯外方移動術を施行した両側声帯麻痺の10例を対象に、呼吸機能と音声機能の観点から手術効果を検討した。5例はEjnell手術施行前に気管切開を受けていた。6例はEjnellが報告した従来法により、4例はendo-extralaryngeal needle carrier (EENC) を用いて手術を行った。両群とも全例で術後に呼吸困難は改善し、気管切開を受けていた5例は気管切開口を閉鎖できた。呼吸機能検査では1秒率および最大呼気流量率の改善が確認できた。また、それらの改善は長期間の経過観察中も保たれていた。一方、術後の音声機能低下は軽度で、全例において社会生活上の支障はなか...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 53; no. 5; pp. 289 - 294
Main Authors 田口, 亜紀, 兵頭, 政光, 本吉, 和美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.09.2007
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi1954.53.5_289

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Summary:Ejnell法による声帯外方移動術を施行した両側声帯麻痺の10例を対象に、呼吸機能と音声機能の観点から手術効果を検討した。5例はEjnell手術施行前に気管切開を受けていた。6例はEjnellが報告した従来法により、4例はendo-extralaryngeal needle carrier (EENC) を用いて手術を行った。両群とも全例で術後に呼吸困難は改善し、気管切開を受けていた5例は気管切開口を閉鎖できた。呼吸機能検査では1秒率および最大呼気流量率の改善が確認できた。また、それらの改善は長期間の経過観察中も保たれていた。一方、術後の音声機能低下は軽度で、全例において社会生活上の支障はなかった。音声機能は声帯がやや内側化するのに伴い、徐々に改善した。声帯に牽引糸をかける手技の違いでは、従来法群に比べてEENC群が術後の音声機能が悪い傾向にあった。これは、EENC群では声帯がやや下方へ牽引されることによるものと思われた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.53.5_289