せん妄に対する抗精神病薬投与により誤嚥性肺炎を起こして死亡退院した1例

(症例) 66歳男性。 (既往歴) 統合失調症。 (現病歴) 自宅で転倒して動けなくなり, 近医を経て当院に搬送された。バイタルサインは安定しており, 急性腎障害疑い, 高CPK血症, 胸椎11圧迫骨折, 左大腿骨転子部骨折の診断で保存加療となった。 (入院後経過) 腎不全は輸液と透析で軽快し, CPKは第5病日にピークアウトした。第11病日にせん妄に対しリスペリドン6mgが開始され, その翌日から意識が低下する。第15病日から発熱し, 熱源として誤嚥性肺炎と診断された。抗菌薬で肺炎の治療を開始したが, 第23病日に死亡退院となった。 (考察) リスペリドンの副作用による誤嚥性肺炎による死亡と...

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Published in日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 42; no. 2; pp. 31 - 34
Main Authors 淺野, 祥孝, 輿水, 健治, 園田, 健一郎, 久木原, 由里子, 安藤, 陽児, 中村, 元洋, 中治, 春香, 久村, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救急医学会関東地方会 31.03.2021
Subjects
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ISSN0287-301X
2434-2580
DOI10.24697/jaamkanto.42.2_31

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Summary:(症例) 66歳男性。 (既往歴) 統合失調症。 (現病歴) 自宅で転倒して動けなくなり, 近医を経て当院に搬送された。バイタルサインは安定しており, 急性腎障害疑い, 高CPK血症, 胸椎11圧迫骨折, 左大腿骨転子部骨折の診断で保存加療となった。 (入院後経過) 腎不全は輸液と透析で軽快し, CPKは第5病日にピークアウトした。第11病日にせん妄に対しリスペリドン6mgが開始され, その翌日から意識が低下する。第15病日から発熱し, 熱源として誤嚥性肺炎と診断された。抗菌薬で肺炎の治療を開始したが, 第23病日に死亡退院となった。 (考察) リスペリドンの副作用による誤嚥性肺炎による死亡と考えられた。せん妄は, 身体疾患による急性脳症であり, 原因となる身体疾患や薬物を同定して治療する必要がある。せん妄に対して対症療法として抗精神病薬を使用する場合には, 誤嚥などの副作用に注意して使用するべきであると考えられた。
ISSN:0287-301X
2434-2580
DOI:10.24697/jaamkanto.42.2_31