IgG4関連涙腺・唾液腺炎(ミクリッツ病)の診療とトピックス
はじめに:IgG4関連疾患の概念が形成されてからまだ数年しか経過しておらず,日常診療においても不明な点が多い.私たちは,IgG4関連疾患症例登録システム(Sapporo Medical University and related institutes database for investigation and best treatments against IgG4-related disease: SMART)を構築し,そこから得られたデータを解析することで,その臨床像を明らかにすることを目的としている.本稿では, IgG4関連涙腺・唾液腺炎の臨床像,日常診療の実際,治療における問題点と...
Saved in:
Published in | 臨床リウマチ Vol. 29; no. 2; pp. 147 - 154 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
2017
The Japanese Society for Clinical Rheumatology and Related Research |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-8760 2189-0595 |
DOI | 10.14961/cra.29.147 |
Cover
Summary: | はじめに:IgG4関連疾患の概念が形成されてからまだ数年しか経過しておらず,日常診療においても不明な点が多い.私たちは,IgG4関連疾患症例登録システム(Sapporo Medical University and related institutes database for investigation and best treatments against IgG4-related disease: SMART)を構築し,そこから得られたデータを解析することで,その臨床像を明らかにすることを目的としている.本稿では, IgG4関連涙腺・唾液腺炎の臨床像,日常診療の実際,治療における問題点と新しい可能性について概説したい. 臨床像:IgG4関連涙腺・唾液腺炎患者の性差はほぼ同一で,60歳以上に好発する.約6割の患者において涙腺・唾液腺炎以外に臓器病変があり,自己免疫性膵炎が最も多い.診断時に悪性腫瘍が見つかるケースがある.ステロイド薬により容易に寛解導入できるが,ほとんどの患者では維持療法が必要である.ステロイド薬の漸減とともに再燃もしやすい.再燃を繰り返す患者では,生物学的製剤が有用な場合がある. 結論:IgG4関連涙腺・唾液腺炎の診断には,他臓器病変と悪性腫瘍の合併を念頭に全身検索が重要である.また組織診断を実施し,悪性リンパ腫をはじめとした鑑別診断を行う必要がある.ステロイド依存例,再燃を繰り返す患者に生物学的製剤を含めた免疫抑制剤が有用である可能性が高いが,治療アルゴリズムにどのように位置づけるか,今後の課題である. |
---|---|
ISSN: | 0914-8760 2189-0595 |
DOI: | 10.14961/cra.29.147 |