脳血管障害における血清脂質と血小板凝集能の関連
血小板凝集能の測定方法には数多くの報告があるが, われわれは全血を用いて血小板ADP (Adenosine 5′-diphosphate) 凝集能を測定する Screen Filtration Pressure (SFP) 法 (Swank 1961年) を用い, 健康老年者36例, 回復期脳血栓213例, 脳出血101例の血小板ADP凝集能 (SFP) を検討した. あわせて血清脂質を測定し, SFPとの関連を検討した. 健康老年者のSFPならびに総コレステロール,β-リポ蛋白, トリグリセライド値は, それぞれ148.7±53.5mmHg (平均値±標準偏差), 201.3±30.4mg/...
Saved in:
Published in | 動脈硬化 Vol. 4; no. 3; pp. 293 - 298 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本動脈硬化学会
01.10.1976
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-2682 2185-8284 |
DOI | 10.5551/jat1973.4.3_293 |
Cover
Summary: | 血小板凝集能の測定方法には数多くの報告があるが, われわれは全血を用いて血小板ADP (Adenosine 5′-diphosphate) 凝集能を測定する Screen Filtration Pressure (SFP) 法 (Swank 1961年) を用い, 健康老年者36例, 回復期脳血栓213例, 脳出血101例の血小板ADP凝集能 (SFP) を検討した. あわせて血清脂質を測定し, SFPとの関連を検討した. 健康老年者のSFPならびに総コレステロール,β-リポ蛋白, トリグリセライド値は, それぞれ148.7±53.5mmHg (平均値±標準偏差), 201.3±30.4mg/dl, 326.7±87.3mg/dl, 98.2±35.3mg/dlであった. 回復期脳血栓症では, それぞれ213.0±60.6mmHg, 212.9±35.9mg/dl, 399.4±106.7mg/dl, 147.4±61.5mg/dl, 回復期脳出血症では196.1±63.4mmHg, 208.3±42.1mg/dl, 400.8±99.4mg/dl, 138.0±64.6mg/dlであった. これら各疾患群のSFPならびに血清脂質は, 健康老年者に比べて有意 (P<0.05~0.01) に高い値を示した. 回復期脳血栓症における健康老年者の平均値+2SD以上の高コレステローノヒ血症, 高β-リポ蛋白血症, 高トリグリセライド血症を示す率は, それぞれ11.3%, 15.5%, 27.7%であった. 回復期脳出血症では, それぞれ11.0%, 9.9%, 23.8%であった. これら疾患群において, 高トリグリセライド血症を示す例が, 高コレステロール, 高β-リポ蛋白血症を示す例よりも有意 (P<0.05~0.01) に高率であった. 一方, 高脂血症を示す疾患群のSFPと高脂血症を示さない例のSFPとの平均値はほぼ等しく, 両者間に有意差は認められなかった. また, 症患群におけるSFPと血清脂質の間に有意の相関関係は認められず, 血清脂質は直接的には血小板ADP凝集能に影響を与えないことを知った. |
---|---|
ISSN: | 0386-2682 2185-8284 |
DOI: | 10.5551/jat1973.4.3_293 |