Werner症候群に合併し,内視鏡的に粘膜切除しえた早期胃癌の1例

症例は53歳男性。39歳より糖尿病を指摘されていた。入院時,脱毛,白内障,皮膚硬化を認めた。内分泌学的検査にて,インスリン抵抗性糖尿病と原発性性腺機能低下症を認め,Werner症候群と診断した。経過中,胃部不快感があり,上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部大彎側に約8mmのⅡc型早期胃癌の所見あり,生検にて中分化型腺癌であった。1cm以下のm癌と考えられ,基礎にWerner症候群があり,術後癒合不全の危険が高いため内視鏡的粘膜切除を行った。2回のstrip biopsyにて病巣は切除され,2年6ヵ月経過した現在再発はみられていない。Werner症候群は約10%と高率に悪性腫瘍の合併を認めるが,悪性...

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Published in消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy Vol. 43; pp. 170 - 173
Main Authors 佐藤, 重信, 賀古, 眞, 岸川, 哲二郎, 阿部, 和裕, 木村, 博司, 宮川, 浩, 森, 隆彦, 田所, 美佳, 広田, 文雄, 斉藤, 和磨, 石橋, みゆき, 中村, 尚志, 永井, 孝三, 古江, 尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 01.12.1993
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ISSN0389-9403
0389-9403
DOI10.11641/pdensks.43.0_170

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Summary:症例は53歳男性。39歳より糖尿病を指摘されていた。入院時,脱毛,白内障,皮膚硬化を認めた。内分泌学的検査にて,インスリン抵抗性糖尿病と原発性性腺機能低下症を認め,Werner症候群と診断した。経過中,胃部不快感があり,上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部大彎側に約8mmのⅡc型早期胃癌の所見あり,生検にて中分化型腺癌であった。1cm以下のm癌と考えられ,基礎にWerner症候群があり,術後癒合不全の危険が高いため内視鏡的粘膜切除を行った。2回のstrip biopsyにて病巣は切除され,2年6ヵ月経過した現在再発はみられていない。Werner症候群は約10%と高率に悪性腫瘍の合併を認めるが,悪性黒色腫や肉腫がほとんどで,胃癌の合併はまれである。早期胃癌合併例の報告はなく,本症は高度の創傷治癒の遷延を認めることからも,内視鏡的治療のよい適応と考えられ報告する。
ISSN:0389-9403
0389-9403
DOI:10.11641/pdensks.43.0_170