病的脾破裂を合併したB細胞性慢性リンパ性白血病の1例

症例は83歳の男性で,主訴は左側腹部痛.平成7年からB細胞性慢性リンパ性白血病の診断で,当院内科でfollow upされていた.軽度の血小板減少のみで増悪傾向もなく,無治療であった.平成11年頃から脾腫を指摘されていた.平成20年10月下旬に突然左側腹部痛を認め,当院内科を受診した.腹部造影CTで脾破裂に伴う腹腔内出血の診断で,手術目的で当科紹介となった.腹腔内には多量の血性腹水を認め,脾臓は著しく腫大していた.摘出した脾臓は重量1.95 kg,径18×12×7.5 cmであった.病理組織学的診断では,赤脾髄内にCD20陽性のBリンパ球様細胞の浸潤を認めた.術後のWBCが,25,000/μl前...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 43; no. 3; pp. 259 - 263
Main Authors 大成, 政揮, 岡崎, 嘉一, 藤井, 雅和, 濱野, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2010
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.43.259

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Summary:症例は83歳の男性で,主訴は左側腹部痛.平成7年からB細胞性慢性リンパ性白血病の診断で,当院内科でfollow upされていた.軽度の血小板減少のみで増悪傾向もなく,無治療であった.平成11年頃から脾腫を指摘されていた.平成20年10月下旬に突然左側腹部痛を認め,当院内科を受診した.腹部造影CTで脾破裂に伴う腹腔内出血の診断で,手術目的で当科紹介となった.腹腔内には多量の血性腹水を認め,脾臓は著しく腫大していた.摘出した脾臓は重量1.95 kg,径18×12×7.5 cmであった.病理組織学的診断では,赤脾髄内にCD20陽性のBリンパ球様細胞の浸潤を認めた.術後のWBCが,25,000/μl前後と高値で推移していたが,感染兆候などはなく,慢性リンパ性白血病の影響であると考えられた.その他の経過は良好であり,術後12日目に退院し,内科でfollow upとなった.退院後,内科では無治療で経過観察されていたが,術後2か月目のPltは20.3×104/μlと基準値内に改善していた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.43.259