血清アポリポ蛋白の免疫学的性質およびアミノ酸構成に関する研究

高リポ蛋白血症が動脈硬化症の進展に大きく関与していることは周知の事実である. リポ蛋白の蛋白部分すなわちアポリポ蛋白は脂質の転送をはじめ脂質代謝に大きな役割を演じている. このアポリポ蛋白に関して, 家族性高リポ蛋白血症例, 非家族性高リポ蛋白血症例, 二次性高リポ蛋白血症例すなわちネフローゼ症候群・糖尿病・甲状腺機能低下症・閉塞性黄疸, および肝硬変例につき健常例を対照としてその免疫学的性質と構成ポリペプタイドのアミノ酸構成について検討した. アポリポ蛋白の免疫学的性質は拡散法と電気泳動法にて観察したが, 健常例と各種の高リポ蛋白血症例との間に差が認められず, 各症例間にも差異が認められなか...

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Published in動脈硬化 Vol. 5; no. 3; pp. 297 - 308
Main Author 松本, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本動脈硬化学会 01.10.1977
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ISSN0386-2682
2185-8284
DOI10.5551/jat1973.5.3_297

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Summary:高リポ蛋白血症が動脈硬化症の進展に大きく関与していることは周知の事実である. リポ蛋白の蛋白部分すなわちアポリポ蛋白は脂質の転送をはじめ脂質代謝に大きな役割を演じている. このアポリポ蛋白に関して, 家族性高リポ蛋白血症例, 非家族性高リポ蛋白血症例, 二次性高リポ蛋白血症例すなわちネフローゼ症候群・糖尿病・甲状腺機能低下症・閉塞性黄疸, および肝硬変例につき健常例を対照としてその免疫学的性質と構成ポリペプタイドのアミノ酸構成について検討した. アポリポ蛋白の免疫学的性質は拡散法と電気泳動法にて観察したが, 健常例と各種の高リポ蛋白血症例との間に差が認められず, 各症例間にも差異が認められなかった. 脱脂したapo LDLとapo HDLを Sephadex G200 でゲル濾過するとそれぞれ2分画, 6分画に細分画され, apo LDLは Fraction I が, apo HDLは Fraction III が主体であった. そしてapo LDLと Fraction I およびapo HDLと Fraction III のアミノ酸構成はそれぞれ近似していた. 非家族性および二次性高リポ蛋白血症例と肝硬変例のアポリポ蛋白のアミノ酸構成は健常例とほとんど差がなかった. しかし家族性 Type II 高リポ蛋白血症例ではapo HDLに, 家族性 Type IV 高リポ蛋白血症例ではapo LDLに健常例との差が認められた. 同じ家族性 Type II 高リポ蛋白血症例でも症例間に差が認められた. このことは各個人によって, その時の病態によってもアポリポ蛋白のアミノ酸構成が変動する可能性のあることを示すものとも思われる.
ISSN:0386-2682
2185-8284
DOI:10.5551/jat1973.5.3_297