横隔膜原発paragangliomaの1例

Paraganglioma(以下,PGと略記)は,傍神経節細胞由来の腫瘍で,多くは腹部大動脈周囲に発生するが,横隔膜原発PGの報告はほとんどない.今回,極めてまれな横隔膜原発PGの1例を経験したので報告する.症例は61歳の男性で,検診で肝細胞癌が疑われ,精査加療目的で当院受診となった.受診時,特に症状はなかった.CTでは,肝S8横隔膜ドーム直下に40mm大の経時的に淡く造影される腫瘤を認め,MRIでは,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示した.腹部血管造影検査で,右下横隔動脈を供血血管とすることは判明したが,画像検査では確定診断に至らなかった.悪性腫瘍が否定できず,診断的治療目的で開...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 5; pp. 559 - 565
Main Authors 大東, 弘明, 石川, 治, 矢野, 雅彦, 橘高, 弘忠, 高橋, 秀典, 大植, 雅之, 山田, 晃正, 長田, 盛典, 冨田, 裕彦, 後藤, 邦仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.559

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Summary:Paraganglioma(以下,PGと略記)は,傍神経節細胞由来の腫瘍で,多くは腹部大動脈周囲に発生するが,横隔膜原発PGの報告はほとんどない.今回,極めてまれな横隔膜原発PGの1例を経験したので報告する.症例は61歳の男性で,検診で肝細胞癌が疑われ,精査加療目的で当院受診となった.受診時,特に症状はなかった.CTでは,肝S8横隔膜ドーム直下に40mm大の経時的に淡く造影される腫瘤を認め,MRIでは,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を示した.腹部血管造影検査で,右下横隔動脈を供血血管とすることは判明したが,画像検査では確定診断に至らなかった.悪性腫瘍が否定できず,診断的治療目的で開腹術を施行.腫瘍は右横隔膜内に存在し周囲への浸潤は認めず,一部横隔膜とともに腫瘍を摘出した.病理組織学的検査所見よりPGと診断され,臨床所見を併せnon-functioning PGと最終診断した.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.559