要介護高齢者に対する口腔ケアの費用効果分析

要介護高齢者に対する口腔ケアの効果について, 誤嚥性肺炎患者の診療報酬を対象に費用効果分析を行ったところ, 口腔ケアは医療経済学的観点からも有用であることが示されたのでその概要を報告する。 研究に当たってはまず文献的な考察によって誤嚥性肺炎予防に関する口腔ケアの効果を検討すると共に, 口腔ケアの診療報酬を算出した。次いで誤嚥性肺炎にて入院加療を要した患者の診療報酬請求額を算出し, 両者を比較して費用効果分析を行った。 その結果, 口腔ケアの局所効果としては, 口腔や咽頭の細菌量の減少, 口臭の低下, 歯肉炎の減少などがあり, 全身的な効果としては発熱率の低下, 誤嚥性肺炎罹患率の低下, 死亡率...

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Published in老年歯科医学 Vol. 17; no. 3; pp. 275 - 280
Main Authors 三浦, 宏子, 道脇, 幸博, 米山, 武義, 角, 保徳, 永長, 周一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.03.2003
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg1987.17.275

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Summary:要介護高齢者に対する口腔ケアの効果について, 誤嚥性肺炎患者の診療報酬を対象に費用効果分析を行ったところ, 口腔ケアは医療経済学的観点からも有用であることが示されたのでその概要を報告する。 研究に当たってはまず文献的な考察によって誤嚥性肺炎予防に関する口腔ケアの効果を検討すると共に, 口腔ケアの診療報酬を算出した。次いで誤嚥性肺炎にて入院加療を要した患者の診療報酬請求額を算出し, 両者を比較して費用効果分析を行った。 その結果, 口腔ケアの局所効果としては, 口腔や咽頭の細菌量の減少, 口臭の低下, 歯肉炎の減少などがあり, 全身的な効果としては発熱率の低下, 誤嚥性肺炎罹患率の低下, 死亡率の減少などが挙げられた。また誤嚥性肺炎予防の観点から算出した口腔ケアの費用便益比は, 直接費用のみを比較しても0.82であった。 従って口腔ケアの局所的効果や全身的な効果について, 直接費用と間接費用を含めると, その費用効果はさらに上昇すると考えられた。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg1987.17.275