北海道胆振東部地震における静脈血栓塞栓症発生状況—予防啓発活動における検診結果からの報告

地震などの災害発生後には静脈血栓塞栓症(Venous thromboembolism: VTE)をはじめとする循環器疾患が増加することが知られている.2018年9月6日に発災した北海道胆振東部地震において,われわれは血栓予防啓発を兼ねたVTE検診活動を施行したので,その経過を報告する.検診は計7日間,厚真町,むかわ町,安平町の3町,9カ所の避難所で実施した.延べ195名の下肢エコー検査を実施し,深部静脈血栓症(Deep vein thrombosis: DVT)を19例(9.7%)に認め,うちエコー所見で新鮮血栓と判定したのは8例(4.1%)であった.避難者因子の他,避難所環境因子を段ボールベ...

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Published in静脈学 Vol. 32; no. 1; pp. 5 - 10
Main Authors 奥田, 紘子, 古屋, 敦宏, 榛沢, 和彦, 大平, 成真, 菊地, 信介, 内田, 大貴, 東, 信良, 伊倉, 真衣子, 鎌田, 啓輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 30.01.2021
Subjects
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.20-11

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Summary:地震などの災害発生後には静脈血栓塞栓症(Venous thromboembolism: VTE)をはじめとする循環器疾患が増加することが知られている.2018年9月6日に発災した北海道胆振東部地震において,われわれは血栓予防啓発を兼ねたVTE検診活動を施行したので,その経過を報告する.検診は計7日間,厚真町,むかわ町,安平町の3町,9カ所の避難所で実施した.延べ195名の下肢エコー検査を実施し,深部静脈血栓症(Deep vein thrombosis: DVT)を19例(9.7%)に認め,うちエコー所見で新鮮血栓と判定したのは8例(4.1%)であった.避難者因子の他,避難所環境因子を段ボールベッド導入状況とトイレ環境に分けて多変量解析を施行したところ,収縮期血圧と段ボールベッド導入状況,トイレ環境がDVT発生を有意に増加させる結果となった.早期の介入が可能な避難所環境因子として段ボールベッド導入は重要であると考えられた.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.20-11