木材生産性,土砂流出リスク及び渓畔林保全を考慮した自然林再生のための小集水域ゾーニング

小集水域スケールでの自然林再生候補地の科学的な選定手法を提案することを目的として,九州の低山帯で針葉樹人工林が卓越する小集水域を対象に,木材生産,水土保全,生物多様性保全の3つの管理目的の観点から立地評価を行った.この立地評価結果に基づいて自然林再生の候補地を抽出するとともに,小集水域をさらに分割した下位集水域単位で自然林再生優先度を設定した.この手法により,10 m×10 mの高解像度で対象地内の自然林再生候補地を示すことができた.また,立地評価にAHP法を用いたことにより,異なる管理目的の重要度に応じた自然林再生候補地の設定が可能であり,閾値を変化させた代替案の提示によって,より有効な意思...

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Published in景観生態学 Vol. 18; no. 2; pp. 139 - 147
Main Authors 光田, 靖, 三枝, 直樹, 伊藤, 哲, 平田, 令子, 木崎, 巧治, 山川, 博美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本景観生態学会 2013
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ISSN1880-0092
1884-6718
DOI10.5738/jale.18.139

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Summary:小集水域スケールでの自然林再生候補地の科学的な選定手法を提案することを目的として,九州の低山帯で針葉樹人工林が卓越する小集水域を対象に,木材生産,水土保全,生物多様性保全の3つの管理目的の観点から立地評価を行った.この立地評価結果に基づいて自然林再生の候補地を抽出するとともに,小集水域をさらに分割した下位集水域単位で自然林再生優先度を設定した.この手法により,10 m×10 mの高解像度で対象地内の自然林再生候補地を示すことができた.また,立地評価にAHP法を用いたことにより,異なる管理目的の重要度に応じた自然林再生候補地の設定が可能であり,閾値を変化させた代替案の提示によって,より有効な意思決定支援情報を提供できると考えられた.さらに,小班面積と同等面積の下位集水域に分割して自然林再生の優先度を設定することで,科学的に抽出された自然林再生候補地と,実際の森林管理・計画制度との整合を図れる可能性が示された.
ISSN:1880-0092
1884-6718
DOI:10.5738/jale.18.139