当院における嚥下障害患者の経口摂取獲得とその阻害因子の検討

【目的】急性期病院における嚥下リハビリテーション(以下リハ)実施患者の転帰と背景因子を明らかにすること.【対象と方法】2016 年4 月から2017 年3 月に嚥下リハを行った130 例(男性79 例,女性51 例,年齢21 歳~ 99 歳,平均82.1±12.2 歳)を対象とした.入院主病名,認知症・嚥下リハ阻害因子の有無および摂食嚥下評価をカルテから後方視的に調査して集計と分析を行った.【結果】嚥下リハ終了時に三食経口摂取で栄養確立した患者は55 例(42 %)で,入院主病名別では肺炎が31 例中7 例(23 %)と最低であった.食事形態は嚥下調整食2 が58 例(45 %)と多く,食事自...

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Published inThe Medical Journal of Matsue City Hospital Vol. 22; no. 1; pp. 20 - 23
Main Authors 松井, 寛, 福永, 典子, 竹林, 香織, 徳田, 佳生, 中谷, 綾子, 植野, 直子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 松江市立病院 2019
Matsue City Hospital
Subjects
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ISSN1343-0866
2434-8368
DOI10.32294/mch.22.1_20

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Summary:【目的】急性期病院における嚥下リハビリテーション(以下リハ)実施患者の転帰と背景因子を明らかにすること.【対象と方法】2016 年4 月から2017 年3 月に嚥下リハを行った130 例(男性79 例,女性51 例,年齢21 歳~ 99 歳,平均82.1±12.2 歳)を対象とした.入院主病名,認知症・嚥下リハ阻害因子の有無および摂食嚥下評価をカルテから後方視的に調査して集計と分析を行った.【結果】嚥下リハ終了時に三食経口摂取で栄養確立した患者は55 例(42 %)で,入院主病名別では肺炎が31 例中7 例(23 %)と最低であった.食事形態は嚥下調整食2 が58 例(45 %)と多く,食事自立度は全介助が94 例(72 %)を占めたが,食事形態が上がれば自立度も上昇していた.認知症の有無で経口摂取栄養確立の割合に差はなかったが,傾眠,発動性低下,食思不振または摂食拒否の嚥下リハ阻害因子がある場合には58 例中17 例(29 %)と有意に低率であった.特に発動性低下または摂食拒否がある場合の経口摂取栄養確立はそれぞれ1 例のみと不良であった.【結語】当院では嚥下リハ対象患者が三食経口摂取になる確率はあまり高くなく,肺炎が主病名の患者は既存の嚥下障害のために経口摂取獲得が不良となり易いと考えられた.また発動性低下と摂食拒否は経口摂取栄養確立に対して強い嚥下リハ阻害因子となる.
ISSN:1343-0866
2434-8368
DOI:10.32294/mch.22.1_20