大腸癌の異時性肝転移予測法としての血管新生関連因子の検索意義
〔目的〕:大腸癌肝転移における血管新生の影響を検討するために,症例を同時性肝転移群,異時性群および非再発群に分け,各群原発巣における微小血管密度(MVD)およびVEGF,PD-ECGF,p53,CD44,nm23,PCNA発現を免疫組織化学的に検索し,異時性肝転移予測の可能性を推察した. 〔結果〕:1)MVDについては,同時性群が他群より,また異時性群が非再発群より有意に高値であった.2)VEGF発現増強につれ肝転移例の頻度が増加し,非再発例は減少した.3)CD44陽性率は同時性群,異時性群で非再発群より有意に高値であり,逆にnm23陽性率は有意な低値を示した.4)PCNAL.I.は肝転移時期...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 54; no. 2; pp. 86 - 94 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2001
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.54.86 |
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Summary: | 〔目的〕:大腸癌肝転移における血管新生の影響を検討するために,症例を同時性肝転移群,異時性群および非再発群に分け,各群原発巣における微小血管密度(MVD)およびVEGF,PD-ECGF,p53,CD44,nm23,PCNA発現を免疫組織化学的に検索し,異時性肝転移予測の可能性を推察した. 〔結果〕:1)MVDについては,同時性群が他群より,また異時性群が非再発群より有意に高値であった.2)VEGF発現増強につれ肝転移例の頻度が増加し,非再発例は減少した.3)CD44陽性率は同時性群,異時性群で非再発群より有意に高値であり,逆にnm23陽性率は有意な低値を示した.4)PCNAL.I.は肝転移時期との間に有意の相関を示した.〔まとめ〕:開腹時所見や病理診断で差がなくとも,原発巣でのVEGFとCD44が高発現で,MVDとPCNAL.I.が高く,nm23が減弱している症例は異時性肝転移をきたす可能性が高いと推察された. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.54.86 |