抗リン脂質抗体症候群に伴う血小板減少症を併発した上行結腸癌の1例

症例は63歳,男性.便潜血陽性を主訴に消化器内科を受診し,精査で上行結腸癌と診断された.61歳時に偶発的に血小板低値を指摘され,抗カルジオリピン・β2-GPI複合体陽性の抗リン脂質抗体症候群と診断された.術前の凝固能検査では異常を認めなかったことから,手術に際してはヘパリン等の抗血栓療法を行わなかった.一方で,術前血小板数が5万程度であったことから,血小板数増加を促す目的にγグロブリン大量静注療法(IVIG療法)と血小板輸血を術前に実施した後,腹腔鏡下回盲部切除を施行した.周術期に出血性合併症の出現なく良好に経過した.血小板減少症を伴った抗リン脂質抗体症候群合併の上行結腸癌において,IVIG療...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 10; pp. 1423 - 1429
Main Authors 宮本, 将秀, 藤社, 勉, 川村, 英伸, 細井, 信之, 山田, 和彦, 中村, 侑哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1423

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Summary:症例は63歳,男性.便潜血陽性を主訴に消化器内科を受診し,精査で上行結腸癌と診断された.61歳時に偶発的に血小板低値を指摘され,抗カルジオリピン・β2-GPI複合体陽性の抗リン脂質抗体症候群と診断された.術前の凝固能検査では異常を認めなかったことから,手術に際してはヘパリン等の抗血栓療法を行わなかった.一方で,術前血小板数が5万程度であったことから,血小板数増加を促す目的にγグロブリン大量静注療法(IVIG療法)と血小板輸血を術前に実施した後,腹腔鏡下回盲部切除を施行した.周術期に出血性合併症の出現なく良好に経過した.血小板減少症を伴った抗リン脂質抗体症候群合併の上行結腸癌において,IVIG療法と血小板輸血を施行した後,手術を行った1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1423