眼窩内容摘出術を施行した浸潤型副鼻腔真菌症の1例

浸潤型副鼻腔真菌症は難治性の疾患である。今回,眼窩内容摘出を行った浸潤型副鼻腔真菌症例を報告した。症例は73歳の男性。左視力低下と頭痛を主訴に当科初診。左中鼻道のポリープと著しい視力低下を認めた。CTでは副鼻腔炎と眼窩内側壁の骨欠損を認め造影MRIでは副鼻腔から視神経を含む眼窩尖端部まで病変が及んでいた。β-Dグルカンが高値であり,生検でアスペルギルス様菌糸の増殖を認めた。抗真菌薬の点滴静注を開始したが,視力不変であり頭痛が悪化したため眼窩内容摘出術と副鼻腔手術を施行した。術後,抗真菌薬の投与を継続しているが感染再燃を認めない。視神経や眼窩尖端部に病変を認め視力回復が期待できない症例では眼窩内...

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Published in頭頸部外科 Vol. 31; no. 2; pp. 185 - 189
Main Authors 髙橋, さとか, 島田, ディアス 茉莉, 川田, 和己, 天野, 雄介, 金澤, 丈治, 西野, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2021
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Summary:浸潤型副鼻腔真菌症は難治性の疾患である。今回,眼窩内容摘出を行った浸潤型副鼻腔真菌症例を報告した。症例は73歳の男性。左視力低下と頭痛を主訴に当科初診。左中鼻道のポリープと著しい視力低下を認めた。CTでは副鼻腔炎と眼窩内側壁の骨欠損を認め造影MRIでは副鼻腔から視神経を含む眼窩尖端部まで病変が及んでいた。β-Dグルカンが高値であり,生検でアスペルギルス様菌糸の増殖を認めた。抗真菌薬の点滴静注を開始したが,視力不変であり頭痛が悪化したため眼窩内容摘出術と副鼻腔手術を施行した。術後,抗真菌薬の投与を継続しているが感染再燃を認めない。視神経や眼窩尖端部に病変を認め視力回復が期待できない症例では眼窩内容の郭清も考慮すべきである。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.31.185