大学生におけるアルバイト就労と精神的健康および修学との関連

本研究は,大学生がアルバイトを行うことによって精神的健康と修学にどのような影響を受けるのかについて検討した。研究1では,大学生284名を対象に,アルバイト就労と抑うつとの関連を検討した。決定木分析の結果,心理的負荷のかかる出来事(職場での人間関係のトラブルやサポート源の消失)の方が深夜勤務よりも抑うつへのリスクが高いことが示された。研究2では,大学生324名を対象に,アルバイト就労と修学との関連について検討した。決定木分析の結果,アルバイト就労による授業等の欠席および期末試験期間中のアルバイト就労が修学困難に対するリスク要因となることが明らかとなった。本研究の結果から,大学生が修学に支障を来す...

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Published in教育心理学研究 Vol. 66; no. 1; pp. 14 - 27
Main Authors 古村, 健太郎, 高本, 真寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 2018
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ISSN0021-5015
2186-3075
DOI10.5926/jjep.66.14

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Summary:本研究は,大学生がアルバイトを行うことによって精神的健康と修学にどのような影響を受けるのかについて検討した。研究1では,大学生284名を対象に,アルバイト就労と抑うつとの関連を検討した。決定木分析の結果,心理的負荷のかかる出来事(職場での人間関係のトラブルやサポート源の消失)の方が深夜勤務よりも抑うつへのリスクが高いことが示された。研究2では,大学生324名を対象に,アルバイト就労と修学との関連について検討した。決定木分析の結果,アルバイト就労による授業等の欠席および期末試験期間中のアルバイト就労が修学困難に対するリスク要因となることが明らかとなった。本研究の結果から,大学生が修学に支障を来すにいたるまでのプロセスには,(a)アルバイト中に心理的負荷のかかる出来事を経験することで精神的不調になり修学困難に至る,(b)深夜勤務による睡眠不足や疲労の蓄積が大学への出席に支障を来すことで修学困難に至るという2つの存在が示唆された。
ISSN:0021-5015
2186-3075
DOI:10.5926/jjep.66.14