青年期に診断された2カ所の腸軸捻転を伴う腸回転異常症の1例

腸回転異常症は新生児期に発見されることが多く,青年期以降に発見されることは稀である.今回われわれは長期間にわたる腹部症状の経過の後,青年期に症状が増悪し,各種画像検査から術前診断し得た腸回転異常症に中腸軸捻転を合併した1例を経験したので報告する. 症例は17歳男性.腹痛を主訴に当院を受診.注腸検査にて左上腹部に大腸の偏在を認め,腹部CT検査ではSMV rotation signとwhirlpool signを認めた.腸回転異常症の診断にて開腹するとnonrotation typeの腸回転異常症で2カ所に腸軸捻転を来していた.腸軸捻転は各々が時計方向に360度捻れていた.捻転を整復した後, La...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 11; pp. 3022 - 3025
Main Authors 堀場, 隆雄, 山内, 晶司, 佐藤, 榮作, 呉, 成浩
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.11.2000
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:腸回転異常症は新生児期に発見されることが多く,青年期以降に発見されることは稀である.今回われわれは長期間にわたる腹部症状の経過の後,青年期に症状が増悪し,各種画像検査から術前診断し得た腸回転異常症に中腸軸捻転を合併した1例を経験したので報告する. 症例は17歳男性.腹痛を主訴に当院を受診.注腸検査にて左上腹部に大腸の偏在を認め,腹部CT検査ではSMV rotation signとwhirlpool signを認めた.腸回転異常症の診断にて開腹するとnonrotation typeの腸回転異常症で2カ所に腸軸捻転を来していた.腸軸捻転は各々が時計方向に360度捻れていた.捻転を整復した後, Ladd手術を施行,虫垂切除を追加した.術後腹部症状は消失し経過は良好である. 腸回転異常症および中腸軸捻転は稀な疾患であるが,各種画像検査により特徴的な所見を得て診断することが可能と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.3022