先天性中枢性低換気症候群診療の標準化を目指して

先天性中枢性低換気症候群(congenital central hypoventilation syndrome: CCHS)は,呼吸中枢の先天的な障害により呼吸困難のない低換気を呈する症候群である.10-20万出生に1人の希少疾患であることや,自覚症状がない低換気という非典型的症状のため,呼吸状態の評価方法や呼吸管理について定まったものがない.このことは,小児期診療はもちろん,成人診療科への移行期医療でも大きな障壁となる.我々は,CCHSに対して呼吸中枢,気道/呼吸機能,換気状態を評価する包括的呼吸評価法を呼吸ドックと名付けて作成した.全国の患者に実施しCCHSの病態の理解や適切な呼吸管理の...

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Published in日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 Vol. 32; no. 2; pp. 168 - 173
Main Authors 山田, 洋輔, 長谷川, 久弥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 30.04.2024
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ISSN1881-7319
2189-4760
DOI10.15032/jsrcr.32.168

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Summary:先天性中枢性低換気症候群(congenital central hypoventilation syndrome: CCHS)は,呼吸中枢の先天的な障害により呼吸困難のない低換気を呈する症候群である.10-20万出生に1人の希少疾患であることや,自覚症状がない低換気という非典型的症状のため,呼吸状態の評価方法や呼吸管理について定まったものがない.このことは,小児期診療はもちろん,成人診療科への移行期医療でも大きな障壁となる.我々は,CCHSに対して呼吸中枢,気道/呼吸機能,換気状態を評価する包括的呼吸評価法を呼吸ドックと名付けて作成した.全国の患者に実施しCCHSの病態の理解や適切な呼吸管理の調整などを行っている.呼吸ドックにより覚醒時低換気が少なくないことが判明したが,従来の人工呼吸器では治療困難であった.そこで我々は,覚醒時低換気に対する新しい治療として横隔膜ペーシングの国内導入を主導している.まだ道半ばであるが,歩みは着実に進んでおり,引き続きデータを集積しCCHS診療の標準化を目指す.
ISSN:1881-7319
2189-4760
DOI:10.15032/jsrcr.32.168