軽度認知障害を有する地域在住高齢者における身体活動量の軌跡と認知症発症の関連
【はじめに、目的】認知症は高齢化に伴い今後世界的な有病率の増加が予想される中、非薬物介入として身体活動の促進が注目されている。しかし、身体活動が低下しやすく認知症発症リスクも高い軽度認知障害 (MCI)を有する地域在住高齢者の活動状況や認知症発症との関連は不明である。そこで、本研究では地域在住のMCIを有する高齢者において客観的に測定した身体活動量の経時的変化と認知症発症との関連を検討した。【方法】調査開始前に認知症の発症が見られた者および身体活動データ が測定されなかった者を除くMCIを有する60歳以上の地域在住高齢者485名 (平均年齢72.6±6.3歳、女性59.0%)を対象とした。身体...
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Published in | 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 37 |
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Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本予防理学療法学会
31.03.2025
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ISSN | 2758-7983 |
DOI | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_37 |
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Summary: | 【はじめに、目的】認知症は高齢化に伴い今後世界的な有病率の増加が予想される中、非薬物介入として身体活動の促進が注目されている。しかし、身体活動が低下しやすく認知症発症リスクも高い軽度認知障害 (MCI)を有する地域在住高齢者の活動状況や認知症発症との関連は不明である。そこで、本研究では地域在住のMCIを有する高齢者において客観的に測定した身体活動量の経時的変化と認知症発症との関連を検討した。【方法】調査開始前に認知症の発症が見られた者および身体活動データ が測定されなかった者を除くMCIを有する60歳以上の地域在住高齢者485名 (平均年齢72.6±6.3歳、女性59.0%)を対象とした。身体活動は3軸加速度計により計測し、ベースライン調査後約 60ヶ月間の歩数および強度別平均身体活動時間 (低強度身体活動時間[LPA]および中高強度身体活動時間[MVPA])を用いた。認知症発症は診療報酬明細情報 (ICD-10コード)、及び介護保険制度の認知症高齢者の日常生活自立度を用い、ベースライン調査後60ヶ月間の新規発症を追跡した。統計解析として、1)各身体活動量の変化の軌跡は集団軌跡モデルを用いて分類し、2)各身体活動量の軌跡グループと新規認知症発症の関連をLog-rank検定および多変量Cox回帰分析にて検討した。【結果】集団軌跡モデルを用いたグループ化の結果、歩数・LPA・ MVPAはいずれも2群 (高活動群、低活動群)に分類され全ての群で顕著な変化なく推移した。歩数において高活動群は8000歩/日前後、低活動群は5000歩/日前後であった。MVPAは高活動群で50分/日前後、低活動群で30分/日前後であった。追跡期間中に54名の新規認知症発症が見られた。Log-rank検定の 結果、歩数 (p=0.005)およびMVPA (p=0.016)の高活動群で有意に認知症発症が少ない傾向が見られた。多変量Cox回帰分析の結果、全ての身体活動変数で活動量の軌跡と認知症発症に有意な関連は見られなかった。【考察・結論】身体活動の経時的変化では低活動や高活動の2群が抽出され、顕著な活動の増減を示す群は抽出されなかった。身体活動の経時的変化と認知症発症に関して、本研究では明らかな関連は認めなかったが、活動が多い群では認知症発症が少ない傾向が見られた。今後はより大規模な集団での観察により、介入方法の検討が可能になると考える。【倫理的配慮】本研究の実施にあたり国立長寿医療研究センター倫理委員会の承認を得た。 (承認番号:1440‒2) |
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Bibliography: | O - 37 |
ISSN: | 2758-7983 |
DOI: | 10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_37 |