社会参加しながらも主観的健康感が低下した地域在住高齢者における社会参加内容の違いによる影響

【はじめに,目的】主観的健康感は地域在住高齢者の健康寿命や社会参加に関連することが報告されている. 我々は第10回本学術大会にて,通いの場に参加しながらも1年間で主観的健康感が低下した者の特徴を報告した.次の課題として,主観的健康感低下リスクが高い者への対策が挙げられる.札幌市高齢者支援計画2024では,健康寿命延伸を目的とした複数の社会参加手段が提案されている.社会参加内容が主観的健康感に与える影響を明らかにすることで,具体的な介護予防施策検討の一助となると考えた.そこで本研究は,札幌市の事業として通いの場に継続参加する地域在住高齢者を調査し,社会参加内容が主観的健康感に与える影響を明らかに...

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Published in日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 51
Main Authors 渡邊, 康介, 福嶋, 篤, 谷津, 圭祐, 樫木, 雅美, 松田, 涼, 佐藤, 佑太郎, 佐藤, 佑樹, 松岡, 寛樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2025
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ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_51

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Summary:【はじめに,目的】主観的健康感は地域在住高齢者の健康寿命や社会参加に関連することが報告されている. 我々は第10回本学術大会にて,通いの場に参加しながらも1年間で主観的健康感が低下した者の特徴を報告した.次の課題として,主観的健康感低下リスクが高い者への対策が挙げられる.札幌市高齢者支援計画2024では,健康寿命延伸を目的とした複数の社会参加手段が提案されている.社会参加内容が主観的健康感に与える影響を明らかにすることで,具体的な介護予防施策検討の一助となると考えた.そこで本研究は,札幌市の事業として通いの場に継続参加する地域在住高齢者を調査し,社会参加内容が主観的健康感に与える影響を明らかにすることを目的とした.【方法】対象は通いの場に参加する65歳以上の地域在住高齢者で,令和3年度と令和5年度の2時点におけるデータに欠損がなく,令和3年度の主観的健康感が「よい」「まあよい」「ふつう」と答えた 387名とした.主観的健康感の測定には後期高齢者の質問票No.1を用いた.主観的健康感が令和5年度に改善あるいは不変だった者を改善・維持群,低下した者を低下群とした.調査項目は令和3年度の通いの場以外の活動有無・数・内容,通いの場の内容・参加頻度とした.統計解析は,改善・維持群を0,低下群を1のダミー変数へ変換した2群を従属変数, 各調査項目該当を0,非該当を1へ変換したダミー変数を独立変数として多重ロジスティック回帰分析(強制投入法)を実施した.有意水準は5%とした.【結果】改善・維持群は256名,低下群は131名であった.分析の結果,通いの場以外の活動におけるスポーツ関係グループ不参加 (OR:3.51 p<0.05),趣味関係グループ不参加(OR:4.72 p<0.01),通いの場以外の活動数(OR:0.32 p<0.05)が抽出された.【考察】通いの場に継続参加している高齢者において,通いの場以外にスポーツや趣味のグループ活動に参加していない,および通いの場以外の活動が少ないことが主観的健康感低下に関連していた.通いの場は重要な社会参加の場だが,その他の社会参加の内容・量に留意する必要があると考える.通いの場で行う活動内容の検討のみでなく,新たなコミュニティの紹介等,通いの場以外の社会参加を推奨することや情報提供を行っていくことで,主観的健康感低下を予防し健康寿命延伸に寄与する可能性がある.【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行った.取得したデータは匿名加工情報に該当し,データの利用については事業実施時に対象者より書面にて同意を得ている.また本発表については事業主体である札幌市介護保険課の了承を得ている.
Bibliography:O - 51
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_51