弛緩部型真珠腫と緊張部型真珠腫 (第1報) 真珠腫進展度分類2010改訂案による病態の比較

弛緩部型真珠腫と緊張部型真珠腫について、中耳真珠腫進展度分類2010年改訂案を用い、真珠腫の進展度、進展範囲、アブミ骨の状態、乳突蜂巣の発育を評価し、病態を比較検討した。 真珠腫上皮の進展範囲は、弛緩部型では上鼓室から乳突腔のみへの進展例が最も多かったが、緊張部型では鼓室から上鼓室、乳突腔、前鼓室など複数亜部位への進展が多かった。また、緊張部型では、顔面神経麻痺や迷路瘻孔の合併率が弛緩部型より高く、アブミ骨上部構造消失率も高かった。乳突蜂巣の発育はいずれも発育不良例が多く、Stageがあがるごとに発育不良例が増加し、蜂巣発育の抑制と真珠腫の病勢との間に関連性が伺われた。 また緊張部型では手術時...

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Published inOtology Japan Vol. 23; no. 2; pp. 113 - 117
Main Authors 森田, 由香, 山本, 裕, 大島, 伸介, 高橋, 邦行, 根本, 美歌, 桑原, 優子, 高橋, 姿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳科学会 25.05.2013
日本耳科学会
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Summary:弛緩部型真珠腫と緊張部型真珠腫について、中耳真珠腫進展度分類2010年改訂案を用い、真珠腫の進展度、進展範囲、アブミ骨の状態、乳突蜂巣の発育を評価し、病態を比較検討した。 真珠腫上皮の進展範囲は、弛緩部型では上鼓室から乳突腔のみへの進展例が最も多かったが、緊張部型では鼓室から上鼓室、乳突腔、前鼓室など複数亜部位への進展が多かった。また、緊張部型では、顔面神経麻痺や迷路瘻孔の合併率が弛緩部型より高く、アブミ骨上部構造消失率も高かった。乳突蜂巣の発育はいずれも発育不良例が多く、Stageがあがるごとに発育不良例が増加し、蜂巣発育の抑制と真珠腫の病勢との間に関連性が伺われた。 また緊張部型では手術時年齢が高く、乳突蜂巣発育が著しく不良である例が多いことから、弛緩部型に比較して真珠腫発症には時間を要するのではないかと考えられた。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.23.113