病院原価計算システムにおける間接費配賦の課題と対応

本稿は,アメリカ病院原価計算の先行研究を踏まえて,電子カルテの患者別レセプト情報を病院会計準則に準拠した勘定科目に対応させるためのマスターファイルを活用した病院原価計算システムの特色をまとめることにより,間接費配賦を巡る病院原価計算システムの課題を明らかにしようとしたものである.加えて,コロナ禍での病院運営における病院原価計算の利活用について,タスク・シフティングと診療報酬改定の側面から考察を加えている.アメリカ病院原価計算,とりわけ病院TDABCの対象原価は,キャパシティ費用率との整合性の高さから,主に臨床スタッフの給与費であり,減価償却費や委託費などの間接費は対象とされていない.そして本稿...

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Published in管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 43 - 58
Main Author 足立, 俊輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本管理会計学会 30.03.2022
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ISSN0918-7863
2434-0529
DOI10.24747/jma.30.2_43

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Summary:本稿は,アメリカ病院原価計算の先行研究を踏まえて,電子カルテの患者別レセプト情報を病院会計準則に準拠した勘定科目に対応させるためのマスターファイルを活用した病院原価計算システムの特色をまとめることにより,間接費配賦を巡る病院原価計算システムの課題を明らかにしようとしたものである.加えて,コロナ禍での病院運営における病院原価計算の利活用について,タスク・シフティングと診療報酬改定の側面から考察を加えている.アメリカ病院原価計算,とりわけ病院TDABCの対象原価は,キャパシティ費用率との整合性の高さから,主に臨床スタッフの給与費であり,減価償却費や委託費などの間接費は対象とされていない.そして本稿で取り上げた病院原価計算システムでは,医療従事者の納得性や,タイムスタディなどの作業負担軽減に配慮した既存データを活用したものとなっている.
ISSN:0918-7863
2434-0529
DOI:10.24747/jma.30.2_43