ANCA関連血管炎による難治性中耳炎の検討 骨導聴力閾値の上昇を呈した9例16耳

最近当科で経験したANCA関連血管炎による難治性中耳炎の臨床的特徴を検討した。過去3年間で難治性中耳炎の経過中にANCAの上昇が認められたもの、もしくは多臓器障害によりANCA関連疾患を強く疑われたものを対象とした。 年齢は55歳から81歳、性別は男性1例1耳、女性8例15耳、両側性が7例、片側性が2例であった。初診時の診断は全例滲出性中耳炎であったが、発症後平均2.9か月で骨導聴力閾値の上昇と認めた。治療後聴力評価が可能であった6例10耳のうち3例6耳は著明改善をみたが、1例1耳は軽度改善、2例3耳は聾となった。聴力予後が不良であった3例4耳について検討すると、2例3耳でMRIにて内耳道硬膜...

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Published inOtology Japan Vol. 23; no. 3; pp. 248 - 255
Main Authors 森田, 由香, 山本, 裕, 大島, 伸介, 高橋, 邦行, 根本, 美歌, 桑原, 優子, 高橋, 姿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳科学会 25.07.2013
日本耳科学会
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Summary:最近当科で経験したANCA関連血管炎による難治性中耳炎の臨床的特徴を検討した。過去3年間で難治性中耳炎の経過中にANCAの上昇が認められたもの、もしくは多臓器障害によりANCA関連疾患を強く疑われたものを対象とした。 年齢は55歳から81歳、性別は男性1例1耳、女性8例15耳、両側性が7例、片側性が2例であった。初診時の診断は全例滲出性中耳炎であったが、発症後平均2.9か月で骨導聴力閾値の上昇と認めた。治療後聴力評価が可能であった6例10耳のうち3例6耳は著明改善をみたが、1例1耳は軽度改善、2例3耳は聾となった。聴力予後が不良であった3例4耳について検討すると、2例3耳でMRIにて内耳道硬膜や蝸牛の造影効果を認め、2例3耳で尿潜血陽性であった。一方、著明改善例ではこれらの所見は認めなかった。以上より、MRIの内耳所見や尿潜血反応が聴力予後因子となる可能性が示唆された。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.23.248