腹腔鏡下仙骨腟固定術施行後に化膿性脊椎炎を合併した1例

症例は76 歳で女性。腟断端脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)術後1 週間後に、発熱・右腰痛が出現し入院となった。内診所見では腟尖部の発赤軽度、腰椎MRI ・骨盤CT では感染部位は特定できなかった。約2 週間の入院管理とし抗生剤投与を施行した。痛みは改善し、内診所見においても腟粘膜の発赤は消失した。LSC 術後70 日後、再び右下腹部痛、右背部痛で歩行困難となり再入院となった。血液検査値は軽度CRP 高値(1 以下)であったが、MRI でL5 /S1 椎体の一部において骨融解を呈し、メッシュ感染による脊椎炎と診断した。腹腔鏡下にメッシュ除去を施行した(前腟壁・後腟壁のメッシュは除去せず...

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Published in日本女性骨盤底医学会誌 Vol. 16; no. 1; pp. 52 - 55
Main Authors 荒木, 英盛, 成島, 雅博, 花井, 一旭, 角田, 夕紀子, 成田, 英生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本女性骨盤底医学会 20.07.2019
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ISSN2187-5669
2434-8996
DOI10.32310/jfpfm.16.1_52

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Summary:症例は76 歳で女性。腟断端脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)術後1 週間後に、発熱・右腰痛が出現し入院となった。内診所見では腟尖部の発赤軽度、腰椎MRI ・骨盤CT では感染部位は特定できなかった。約2 週間の入院管理とし抗生剤投与を施行した。痛みは改善し、内診所見においても腟粘膜の発赤は消失した。LSC 術後70 日後、再び右下腹部痛、右背部痛で歩行困難となり再入院となった。血液検査値は軽度CRP 高値(1 以下)であったが、MRI でL5 /S1 椎体の一部において骨融解を呈し、メッシュ感染による脊椎炎と診断した。腹腔鏡下にメッシュ除去を施行した(前腟壁・後腟壁のメッシュは除去せず、結合部位で切断し、椎体前面のメッシュのみ除去、ダグラス閉鎖)。術後、1 ヶ月間のベッド上安静、血液検査のCRP と血沈値を脊椎炎の治療効果判定とし、陰性化するまで抗生剤投与した。痛みが消失し、歩行可能になるまでに約3 ヶ月間の入院治療を要した。退院後12 ヶ月の現在まで臓器脱の再発および感染の再燃を認めずに経過している。今回、筆者らはLSC 後に発症し、初期診断に苦慮した化膿性脊椎炎を経験したので、文献的考察を含めて報告する。
ISSN:2187-5669
2434-8996
DOI:10.32310/jfpfm.16.1_52