原発不明頸部転移癌 3 例の治療経過と HPV 感染についての後方視的検討

当初原発不明扁平上皮癌とした症例のうち、転移リンパ節摘出後 2 年以上の経過で原発巣がワルダイエル咽頭輪と判明した 2 例を経験した。これに原発不明のまま 5 年以上経過した 1 例も含めた 3 例において、HPV 感染について p16 の発現を免疫組織染色法により後方視的に検討を行った。ワルダイエル咽頭輪原発と判明した 2 例の原発巣はそれぞれ口蓋扁桃と舌根扁桃であった。両例とも、頸部リンパ節と原発巣は免疫染色法で p16 陽性であった。この 2 例のうち 1 例は嚢胞性のリンパ節であった。一方、原発不明の 1 例は初回治療時に頸部郭清術と同側口蓋扁桃摘出術を施行したが、扁桃には癌を認めなか...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 61; no. 6; pp. 230 - 240
Main Authors 伏見, 博彰, 宮原, 裕, 花田, 有紀子, 中村, 恵, 笹井, 久徳, 鎌倉, 綾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.11.2015
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.61.6_230

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Summary:当初原発不明扁平上皮癌とした症例のうち、転移リンパ節摘出後 2 年以上の経過で原発巣がワルダイエル咽頭輪と判明した 2 例を経験した。これに原発不明のまま 5 年以上経過した 1 例も含めた 3 例において、HPV 感染について p16 の発現を免疫組織染色法により後方視的に検討を行った。ワルダイエル咽頭輪原発と判明した 2 例の原発巣はそれぞれ口蓋扁桃と舌根扁桃であった。両例とも、頸部リンパ節と原発巣は免疫染色法で p16 陽性であった。この 2 例のうち 1 例は嚢胞性のリンパ節であった。一方、原発不明の 1 例は初回治療時に頸部郭清術と同側口蓋扁桃摘出術を施行したが、扁桃には癌を認めなかった。この 1 例の頸部リンパ節は嚢胞性ではなく充実性で、p16 は陰性であった。原発不明頸部リンパ節転移の診断の際、転移リンパ節が嚢胞性の場合や HPV 陽性の場合は中咽頭癌の可能性が高いことに留意し、特に口蓋扁桃や舌根扁桃に注意し診断・治療することが重要である。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.61.6_230