外来化学療法中のがん患者に対する看護師による精神症状スクリーニングの実施可能性の検討

本研究は外来化学療法中のがん患者の精神症状評価システム開発をめざし,看護師によるつらさと支障の寒暖計と精神科医による症状評価システムの実施可能性について検討するものである。 平成19年6月末より半年間に広島大学病院で外来化学療法を受けるがん患者を対象とし,結果130名の同意者に調査を行った。つらさ4点,支障3点の閾値以上であった38名のうち,精神科医による面接を希望したものは6名であった。大うつ病2名,適応障害4名であり,精神科での治療継続を推奨し,3名が受診に至った。面接を希望しなかった者のうち,半数はその後の寒暖計調査で閾値を下回った。面接の満足度は低くはないため,対象者において精神的支援...

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Published in総合病院精神医学 Vol. 23; no. 1; pp. 52 - 59
Main Authors 岡村, 仁, 山脇, 成人, 小早川, 誠, 林, 優美, 浅野, 早苗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合病院精神医学会 15.01.2011
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ISSN0915-5872
2186-4810
DOI10.11258/jjghp.23.52

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Summary:本研究は外来化学療法中のがん患者の精神症状評価システム開発をめざし,看護師によるつらさと支障の寒暖計と精神科医による症状評価システムの実施可能性について検討するものである。 平成19年6月末より半年間に広島大学病院で外来化学療法を受けるがん患者を対象とし,結果130名の同意者に調査を行った。つらさ4点,支障3点の閾値以上であった38名のうち,精神科医による面接を希望したものは6名であった。大うつ病2名,適応障害4名であり,精神科での治療継続を推奨し,3名が受診に至った。面接を希望しなかった者のうち,半数はその後の寒暖計調査で閾値を下回った。面接の満足度は低くはないため,対象者において精神的支援の潜在的ニーズはあり,一部の対象者には介入効果があったと考えられる。精神科受診への心理的ハードルを下げるとともに継続したサポート体制を構築することが課題である。
ISSN:0915-5872
2186-4810
DOI:10.11258/jjghp.23.52