鼻腔に発生した髄外性形質細胞腫の 1 例

形質細胞腫は骨の孤立性形質細胞腫と骨以外に発生する髄外性形質細胞腫(extramedullary plasmacytoma:EMP)に分けられる。今回、われわれは鼻腔に発生した EMP 症例を経験した。症例は 75 歳、男性。主訴は左鼻閉および鼻出血。近医で左鼻腔腫瘍を指摘され、当科へ紹介となった。副鼻腔造影 CT では左鼻腔に 15 mm 大の造影効果を伴う腫瘍性病変を認めた。経鼻内視鏡下に腫瘍を摘出し、病理組織検査で EMP の疑いとなった。血清電気泳動法で IgG-κ タイプの M 蛋白が陽性、尿中 Bence-Jones 蛋白は陰性、骨髄穿刺で異常なく、ほかの臓器障害も認めなかった。以...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 69; no. 4; pp. 292 - 297
Main Authors 波多野, 孝, 折舘, 伸彦, 荒井, 康裕, 福井, 健太, 塩野, 理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.07.2023
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.69.4_292

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Summary:形質細胞腫は骨の孤立性形質細胞腫と骨以外に発生する髄外性形質細胞腫(extramedullary plasmacytoma:EMP)に分けられる。今回、われわれは鼻腔に発生した EMP 症例を経験した。症例は 75 歳、男性。主訴は左鼻閉および鼻出血。近医で左鼻腔腫瘍を指摘され、当科へ紹介となった。副鼻腔造影 CT では左鼻腔に 15 mm 大の造影効果を伴う腫瘍性病変を認めた。経鼻内視鏡下に腫瘍を摘出し、病理組織検査で EMP の疑いとなった。血清電気泳動法で IgG-κ タイプの M 蛋白が陽性、尿中 Bence-Jones 蛋白は陰性、骨髄穿刺で異常なく、ほかの臓器障害も認めなかった。以上より鼻腔原発の EMP と診断した。頭頸部領域の EMP は 5 年生存率が約 70 %と比較的良好であるが、局所再発例や多発性骨髄腫への移行例は予後不良とされているため、長期間の経過観察が必要である。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.69.4_292