猫咬傷による Capnocytophaga 感染敗血症性 ショックの1救命例

本邦では報告の少ないネコ咬傷により発症したと考えられるCapnocytophaga による敗血症性ショックを経験したので, 治療の変遷と反省を踏まえて報告する. 症例は69歳男性で受診の4日前に自宅で飼っているネコに右手背を噛まれた. その後, 自宅で経過観察していたが, 発熱などの全身状態悪化を認めて救急搬送された. 初診時は発熱を伴うショック状態であったが, 右手背の咬傷創の局所所見は軽度であった. 当初はパスツレラ感染症を念頭に治療を行っていたが, 臨床経過が一致しないことと, 後の血液培養での菌種の形態学的特徴が一致しない点から疑義が生じた. あらためて病歴と臨床像, 検出菌の形態学的...

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Published in日本救命医療学会雑誌 Vol. 37; pp. 35 - 40
Main Authors 一番ヶ瀬, 博, 上田, 敬博, 松尾, 紀子, 松田, 健一, 大河原, 悠介, 山本, 章裕, 亀岡, 聖史, 木村, 隆誉, 吉岡, 早戸, 生越, 智史, 本間, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本救命医療学会 2023
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Summary:本邦では報告の少ないネコ咬傷により発症したと考えられるCapnocytophaga による敗血症性ショックを経験したので, 治療の変遷と反省を踏まえて報告する. 症例は69歳男性で受診の4日前に自宅で飼っているネコに右手背を噛まれた. その後, 自宅で経過観察していたが, 発熱などの全身状態悪化を認めて救急搬送された. 初診時は発熱を伴うショック状態であったが, 右手背の咬傷創の局所所見は軽度であった. 当初はパスツレラ感染症を念頭に治療を行っていたが, 臨床経過が一致しないことと, 後の血液培養での菌種の形態学的特徴が一致しない点から疑義が生じた. あらためて病歴と臨床像, 検出菌の形態学的特徴を考慮して検討し, Capnocytophaga 感染症を治療対象とした. Capnocytophaga 感染症は重症感染症を引き起こすことがあり, 本症例でも昇圧薬を要するショック, 播種性血管内凝固症候群, そして急性腎障害をきたした. 初診時からカルバペネムで治療を開始しており, Capnocytophaga もカバーされていたことから全身状態は軽快し, 16日目に自宅退院となった.
ISSN:1882-0581
2758-1055
DOI:10.57329/jsccm.37.0_35