スマート治療室から展開する遠隔医療

従来, 手術の手技自体はアナログ的であり, その意思決定の多くは暗黙知と呼ばれる経験に基づいたプロセスによってなされる. ITやICTを利用するためにはデジタルデータに変換し, 形式知としなければならない. 顕微鏡画像をデジタルビデオ記録することもデジタル化の1例であるが, 実際に利用するためには意味のあるデジタル化 (構造化) データが必要であり, さらに意思決定に必要な情報に変換することが重要である. 情報への変換には, 統計解析や人工知能 (AI) が用いられるが, 近年1つの情報のみでは精度の向上には限界があり, 多種類のデータ統合やAIが解決手段の1つである. 多種情報を利用する情報...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 33; no. 7; pp. 496 - 500
Main Authors 正宗, 賢, 川俣, 貴一, 村垣, 善浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経外科コングレス 2024
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.33.496

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Summary:従来, 手術の手技自体はアナログ的であり, その意思決定の多くは暗黙知と呼ばれる経験に基づいたプロセスによってなされる. ITやICTを利用するためにはデジタルデータに変換し, 形式知としなければならない. 顕微鏡画像をデジタルビデオ記録することもデジタル化の1例であるが, 実際に利用するためには意味のあるデジタル化 (構造化) データが必要であり, さらに意思決定に必要な情報に変換することが重要である. 情報への変換には, 統計解析や人工知能 (AI) が用いられるが, 近年1つの情報のみでは精度の向上には限界があり, 多種類のデータ統合やAIが解決手段の1つである. 多種情報を利用する情報誘導手術においては, 空間情報が付与され時間同期したデータが特に重要で, この高品質データが提供できるのがスマート治療室であり, 画面上で表示し記録するアプリが戦略デスクであり遠隔手術や教育に利用できる. 神経膠腫の手術のみならず, 血管内治療や多領域の手術への展開が期待されるIT/ICTと考えられる.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.33.496