高位迷走神経麻痺を伴う Ramsay Hunt 症候群に対する音声嚥下改善手術の意義

Ramsay Hunt 症候群は、顔面神経麻痺・第Ⅷ脳神経症状(めまい、耳鳴、難聴)・耳介の帯状疱疹が三主徴である。三主徴のほかに、舌咽神経麻痺や迷走神経麻痺などの多発脳神経障害を来す例も頻度は多くないが、日常診療において散見される。症例は 76 歳の女性。前医で左 Ramsay Hunt 症候群の診断となり、抗生剤、ステロイド点滴治療を受けるも、左高位迷走神経麻痺の残存を認めた。リハビリテーションを行うも嚥下障害の残存を認め、前医初診時から約 4 カ月を経て当科紹介受診となった。左高位迷走神経麻痺に対して、音声・嚥下改善手術を二期的に行い、良好な経過をたどった。日常診療において、Ramsay...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 68; no. 3; pp. 182 - 189
Main Authors 鈴木, 智陽, 井口, 貴史, 松原, 尚子, 小出, 彩佳, 佐藤, 晋, 梅﨑, 俊郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.05.2022
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Summary:Ramsay Hunt 症候群は、顔面神経麻痺・第Ⅷ脳神経症状(めまい、耳鳴、難聴)・耳介の帯状疱疹が三主徴である。三主徴のほかに、舌咽神経麻痺や迷走神経麻痺などの多発脳神経障害を来す例も頻度は多くないが、日常診療において散見される。症例は 76 歳の女性。前医で左 Ramsay Hunt 症候群の診断となり、抗生剤、ステロイド点滴治療を受けるも、左高位迷走神経麻痺の残存を認めた。リハビリテーションを行うも嚥下障害の残存を認め、前医初診時から約 4 カ月を経て当科紹介受診となった。左高位迷走神経麻痺に対して、音声・嚥下改善手術を二期的に行い、良好な経過をたどった。日常診療において、Ramsay Hunt 症候群の診断は比較的容易であるが、咽喉頭所見が見逃される可能性があるため、十分な咽喉頭の観察が必要である。また、今回の症例を通じて、高位迷走神経麻痺の残存があり、リハビリテーションによる改善が十分でない場合は、積極的な外科的介入が有効と考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.68.3_182