スパズムの概念および治療の変遷と現状の課題

くも膜下出血 (SAH) 後に遅発性脳虚血症状 (DCI) が出現した場合, 本邦では症候性脳血管攣縮, いわゆるスパズムと呼称することが多い. しかし, 脳血管攣縮単独では必ずしも症状を伴わないことや, DCIが脳血管攣縮以外の病態でも生じることがよく知られるようになり, 米国脳卒中協会のガイドラインでは症候性脳血管攣縮という用語はすでに使用されなくなった. 臨床では, 脳血管攣縮以外の原因診断は困難なため, 形態学的定義の脳血管攣縮と臨床症状のみを元に定義したDCIを組み合わせて使用する試みが行われている. SAHの予後改善のためには, DCIの病態を理解し, 現在の標準治療への上乗せ効果...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 27; no. 3; pp. 216 - 221
Main Authors 鈴木, 秀謙, 岡田, 健, 中塚, 慶徳, 中野, 芙美, 西川, 拓文, 芝, 真人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2018
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.27.216

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Summary:くも膜下出血 (SAH) 後に遅発性脳虚血症状 (DCI) が出現した場合, 本邦では症候性脳血管攣縮, いわゆるスパズムと呼称することが多い. しかし, 脳血管攣縮単独では必ずしも症状を伴わないことや, DCIが脳血管攣縮以外の病態でも生じることがよく知られるようになり, 米国脳卒中協会のガイドラインでは症候性脳血管攣縮という用語はすでに使用されなくなった. 臨床では, 脳血管攣縮以外の原因診断は困難なため, 形態学的定義の脳血管攣縮と臨床症状のみを元に定義したDCIを組み合わせて使用する試みが行われている. SAHの予後改善のためには, DCIの病態を理解し, 現在の標準治療への上乗せ効果が期待できる治療法を開発する必要がある.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.27.216