ペースメーカー植込み手技と術後合併症対策について 連続502例の検討

背景:本邦で植込み型ペースメーカー治療が行われるようになり60年以上が経過し,今では安定した成績を得るようになった.現在,わが国では年間43000人以上の症例に新規にペースメーカーが植込まれている.一方で,いまだにペースメーカー植込み術後の感染,穿孔,リード損傷などの合併症は1-3%前後に起こると言われている. 対象と結果:今回,2006年より2021年までの15年間に当院で行われた新規ペースメーカー植込み術連続502例の手術手技,合併症対策についてretrospectiveに検討を加え報告する.手術は原則,前胸部斜切開,橈側皮静脈direct puncture,心室リードの中隔留置,大胸筋下...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 7; pp. 768 - 775
Main Authors 土田, 隆雄, 鈴木, 達也, 吉田, 正隆, 古林, 圭一, 矢野, 健太郎, 寺下, 和範, 山中, 祐輝, 西浦, 哲史, 外村, 大輔, 嶋田, 芳久, 福本, 仁志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.07.2022
日本心臓財団・日本循環器学会
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Summary:背景:本邦で植込み型ペースメーカー治療が行われるようになり60年以上が経過し,今では安定した成績を得るようになった.現在,わが国では年間43000人以上の症例に新規にペースメーカーが植込まれている.一方で,いまだにペースメーカー植込み術後の感染,穿孔,リード損傷などの合併症は1-3%前後に起こると言われている. 対象と結果:今回,2006年より2021年までの15年間に当院で行われた新規ペースメーカー植込み術連続502例の手術手技,合併症対策についてretrospectiveに検討を加え報告する.手術は原則,前胸部斜切開,橈側皮静脈direct puncture,心室リードの中隔留置,大胸筋下もしくは大胸筋筋膜直上のポケット作成で行われた.手術時間は平均74分(25-280分),術中にリードの穿孔や気胸の合併症は認めなかった.周術期抗生剤は原則2日間投与した.術後フォロー期間は平均1260日(1-4714日).フォロー期間中にポケットおよびリード感染や感染性心膜炎の発生は早期,晩期ともに認めずリード損傷も認めなかった. 結論:我々の手術術式,および治療戦略は感染,リードトラブル等の合併症の予防に有用であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.54.768