イオン交換カラムを用いたLC-ICP-MS法によるMRI造影剤ガドリニウム化合物の形態別分析法の検討
近年,水環境中のガドリニウム(Gd)濃度が他の希土類元素と比較して特異的に検出していることが報告されている。Gd化合物の形態別分析法として,HILICカラムとICP-MS法を組み合わせた方法が報告されている。本研究では,環境分析で一般的に用いられるICP-MSの仕様で対応可能な,イオン交換カラムを用いた水系移動相によるGdの化学形態別分析法を検討した。分析カラムにGL-science SYPRON AX-1,移動相に炭酸緩衝液を用いた結果,濃度の異なる移動相を切り替えることにより4種のガドリニウム化合物(Gd-DTPA-BMA, Gd-BT-DO3A, Gd-DTPA及びGd-EOB-DTPA...
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Published in | 環境化学 Vol. 35; pp. 8 - 15 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境化学会
2025
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Subjects | |
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Summary: | 近年,水環境中のガドリニウム(Gd)濃度が他の希土類元素と比較して特異的に検出していることが報告されている。Gd化合物の形態別分析法として,HILICカラムとICP-MS法を組み合わせた方法が報告されている。本研究では,環境分析で一般的に用いられるICP-MSの仕様で対応可能な,イオン交換カラムを用いた水系移動相によるGdの化学形態別分析法を検討した。分析カラムにGL-science SYPRON AX-1,移動相に炭酸緩衝液を用いた結果,濃度の異なる移動相を切り替えることにより4種のガドリニウム化合物(Gd-DTPA-BMA, Gd-BT-DO3A, Gd-DTPA及びGd-EOB-DTPA)が分離できた。本分析法による河川試料のMDLは,Gd-DTPA-BMA: 2.7 ng of Gd/L, Gd-BT-DO3A: 4.4 ng of Gd/L, Gd-DTPA: 1.3 ng of Gd/L及びGd-EOB-DTPA: 3.3 ng of Gd/Lと既報と同程度であり,河川試料に対して十分適応可能であった。一方で,海水試料は, Gd-DTPA-BMA及びGd-BT-DO3Aは試料に共存する塩の影響を受けたため算出できず,分析法の改善が必要である。 |
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ISSN: | 0917-2408 1882-5818 |
DOI: | 10.5985/jec.35.8 |