蛍光塗料塗布面積解析ツールを用いた手指衛生手技の教育効果の検討
医療関連感染において,手指衛生は最も重要な対策であり,必要なタイミングに適切な手技で行うことが求められる.今回,我々は,新たな教育ツール「蛍光塗料塗布面積解析ツール(以下手指衛生解析ツール)」を用いて手指衛生手技の教育効果について評価した.教育方法は,初めに蛍光塗料を用いて手指消毒剤の塗布面積・手洗いによる除去面積を解析ツールで測定・点数化し,教育動画視聴後に再度測定し,職種別に比較した.結果,参加者は935名(医師128名,看護師484名,看護補助者56名,その他のメディカルスタッフ93名,事務職員174名)で,手指消毒は全職種で点数が上昇(看護師・医師・事務職員P<0.01),手洗いは看護...
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Published in | 日本環境感染学会誌 Vol. 39; no. 3; pp. 70 - 75 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本環境感染学会
25.05.2024
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Summary: | 医療関連感染において,手指衛生は最も重要な対策であり,必要なタイミングに適切な手技で行うことが求められる.今回,我々は,新たな教育ツール「蛍光塗料塗布面積解析ツール(以下手指衛生解析ツール)」を用いて手指衛生手技の教育効果について評価した.教育方法は,初めに蛍光塗料を用いて手指消毒剤の塗布面積・手洗いによる除去面積を解析ツールで測定・点数化し,教育動画視聴後に再度測定し,職種別に比較した.結果,参加者は935名(医師128名,看護師484名,看護補助者56名,その他のメディカルスタッフ93名,事務職員174名)で,手指消毒は全職種で点数が上昇(看護師・医師・事務職員P<0.01),手洗いは看護補助者以外で低下(看護師・事務職員P<0.01)し,手指消毒で教育効果が高かった.手洗いはどの職種も手指消毒に比べ点数が高く,元々手技を習得しており,さらに向上させるには手洗い手技のポイントを強調した教育が必要と考えられた.職種間比較では,手指消毒・手洗い共に点数の高い職種と低い職種の差が大きく,全職種共通の教育では効果を得にくいと考えられた.部位別評価では,手指消毒は手背の点数が高く左右差を認めなかったが,手洗いは手掌,左手の点数が高く,手技の課題が異なっていた.部位別評価のうち手指消毒は先行研究と異なる結果で,今後,解析ツール評価基準の妥当性について検討する必要がある. |
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ISSN: | 1882-532X 1883-2407 |
DOI: | 10.4058/jsei.39.70 |