頭蓋内内頚動脈狭窄症により発達した網状血管が原因と考えられたくも膜下出血の1例

70歳代女性.眩暈精査で偶発的に見つかった無症候性右内頚動脈狭窄症に対して10年以上MRAで経過観察されていた.某日,突然の頭痛を発症し,CTでくも膜下出血を認めた.脳血管撮影を行ったところ,右内頚動脈C2 portion以降はシルビウス裂内から側頭葉にかけて網状血管を呈していた.右中大脳動脈は前交通動脈経由で対側から造影された.保存的に経過観察を行い,modified Rankin Scale 0で自宅退院した.発症から3年が経過した時点で再出血は認めずに経過している.本症例ではMRAで内頚動脈狭窄症と判断され,抗血小板薬内服とMRAで経過観察が行われていた.しかしMRAでは血流に沿った形態...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 61 - 65
Main Authors 勝木, 秀英, 吉野, 篤緒, 四條, 克倫, 熊川, 貴大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.04.2025
Subjects
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.84.2_61

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Summary:70歳代女性.眩暈精査で偶発的に見つかった無症候性右内頚動脈狭窄症に対して10年以上MRAで経過観察されていた.某日,突然の頭痛を発症し,CTでくも膜下出血を認めた.脳血管撮影を行ったところ,右内頚動脈C2 portion以降はシルビウス裂内から側頭葉にかけて網状血管を呈していた.右中大脳動脈は前交通動脈経由で対側から造影された.保存的に経過観察を行い,modified Rankin Scale 0で自宅退院した.発症から3年が経過した時点で再出血は認めずに経過している.本症例ではMRAで内頚動脈狭窄症と判断され,抗血小板薬内服とMRAで経過観察が行われていた.しかしMRAでは血流に沿った形態学的な評価しかできず,描出されていない血管の細かい評価ができない.無症候性頭蓋内内頚動脈狭窄・閉塞症で側副血行路として発達した網状血管は出血のリスクにもなりえる.MRAで漠然と経過観察を継続するだけでなく,脳血管撮影などの侵襲的な検査を行い,病態を把握し経過を追う必要がある.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.84.2_61