回復期リハビリテーション病棟に入棟した脳卒中患者の口腔機能低下症の有病率

目的:今回われわれは,回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)入棟時における脳血管疾患(CVA)患者の口腔機能低下症(Oral Hypofunction, OHF)の検査実施可能率と有病率について調査した。 方法:2018年6月から2020年3月までに当院回復期病棟へ入棟した患者のうち,研究に同意を得られた40歳以上のCVA患者186名を対象とした。OHFの7項目を可能な範囲で測定して実施率を算出し,3項目以上が診断基準に該当した場合にOHFと定義し,その有病率を算出した。対象者を摂食嚥下障害あり群と群の2群に分け,口腔機能の測定値が嚥下障害の有無によって差があるか検討した。 結果:OHFの...

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Published in老年歯科医学 Vol. 35; no. 2; pp. 158 - 165
Main Authors 片山, 南海, 松尾, 浩一郎, 岡本, 美英子, 関本, 愉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 30.09.2020
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Summary:目的:今回われわれは,回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)入棟時における脳血管疾患(CVA)患者の口腔機能低下症(Oral Hypofunction, OHF)の検査実施可能率と有病率について調査した。 方法:2018年6月から2020年3月までに当院回復期病棟へ入棟した患者のうち,研究に同意を得られた40歳以上のCVA患者186名を対象とした。OHFの7項目を可能な範囲で測定して実施率を算出し,3項目以上が診断基準に該当した場合にOHFと定義し,その有病率を算出した。対象者を摂食嚥下障害あり群と群の2群に分け,口腔機能の測定値が嚥下障害の有無によって差があるか検討した。 結果:OHFの6項目以上測定できた者は,嚥下障害あり群で47名(47%),群で81名(94%)であった。OHF有病者は嚥下障害あり群で58名(58%),群で40名(47%)であった。下位症状7項目の有病率は,舌口唇運動機能低下が89%と最多で,嚥下機能低下が19%と最小であった。舌圧,咬合力,舌口唇運動機能の測定値は,嚥下障害群で有意に低下していた。 結論:回復期病棟に入棟したCVA患者では,摂食嚥下障害がある場合にOHF有病率が高まることが明らかになった。一方,口腔機能の回復過程をOHFに準じて評価する際に,施行率が低くなる検査もあり,嚥下障害や高次脳機能障害を考慮した代替検査の検討が必要であることも示唆された。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.35.158