単胎児家庭の比較からみた双子家庭における育児問題の分析
目的 双子家庭における育児問題を,単胎児家庭との比較から分析し,双子家庭への効果的な支援のあり方を検討した。 方法 調査対象は,1994年以降に双子を出産した母親234人,および1994年以降に単胎児を出産し,かつ双子の母親と年齢をマッチさせた単胎児の母親200人である。調査内容は,母親の妊娠中の不安,育児協力者の状況,子供の世話をする時間的ゆとり,疲労状態,睡眠状態等である。 結果 1. 妊娠中不安を感じたと答えた者は,単胎児の母親に比べ双子の母親の方が有意(P<0.001)に多く,不安に感じる内容についても双子の母親と単胎児の母親で差異が認められ,双子の母親は双子が生まれることに伴っ...
Saved in:
Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 49; no. 3; pp. 229 - 235 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2002
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.49.3_229 |
Cover
Summary: | 目的 双子家庭における育児問題を,単胎児家庭との比較から分析し,双子家庭への効果的な支援のあり方を検討した。 方法 調査対象は,1994年以降に双子を出産した母親234人,および1994年以降に単胎児を出産し,かつ双子の母親と年齢をマッチさせた単胎児の母親200人である。調査内容は,母親の妊娠中の不安,育児協力者の状況,子供の世話をする時間的ゆとり,疲労状態,睡眠状態等である。 結果 1. 妊娠中不安を感じたと答えた者は,単胎児の母親に比べ双子の母親の方が有意(P<0.001)に多く,不安に感じる内容についても双子の母親と単胎児の母親で差異が認められ,双子の母親は双子が生まれることに伴って生じるさまざまな要因に対して不安を抱いていた。 2. 子どもを世話する時間的ゆとりがあまりないあるいはまったくないと回答した母親は,単胎児家庭で13.6%であるのに対し,双子家庭では68.9%と,双子家庭の方が子どもをみる時間的ゆとりがないと感じる母親が有意(P<0.001)に多かった。 3. 双子家庭の母親は,単胎児家庭の母親に比べ有意に重度の疲労感を訴えていた。また,単胎児家庭における母親の睡眠時間は平均 7 時間19分であるのに対し,双子家庭の母親の睡眠時間は平均 6 時間32分と,双子家庭の母親の方が有意(P<0.001)に短かく,夜間 2 回以上起きる者も有意(P<0.05)に多かった。 4. 夫の育児協力状況別に母親の疲労状態を分析すると,夫の協力のある双子の母親は,夫の協力のない双子の母親よりも心身両面で疲労感が有意に軽減していた。 結論 双子家庭の母親は,単胎児家庭の母親に比べ,疲労感が強く,睡眠状態も悪化し,かつ時間的に余裕のない中で育児に追われていることが明らかとなった。また,妊娠中の不安についても,双胎妊娠した妊婦は,双子が生まれることに伴って生じるさまざまな要因について不安を抱いており,妊娠中からの適切な情報提供を含むサポートの必要性が示唆された。 |
---|---|
ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.49.3_229 |