摂食嚥下障害患者への包括的介入を目的とした多職種によるチームの設立と活動の報告

東京都保健医療公社荏原病院では,平成25年に多職種による「口腔・嚥下ケアチーム Oral and swallowing Care Assistance Team(O-CAT)」を設立した。チーム設立から5年が経過し,院内でチームの存在も確立しつつある。活動内容は多岐にわたり,摂食嚥下状態の評価や診断,それに基づく食事介助方法や姿勢調整などのケア方法,食形態の選定や栄養指導,摂食嚥下機能回復のためのリハビリテーションなど,各職種が専門性を発揮しながら,包括的に患者の健康回復に尽力している。 チーム介入患者の平均年齢は83.3±10.8歳で多くが高齢者であった。また,チームに依頼のあった患者は口腔...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in老年歯科医学 Vol. 34; no. 1; pp. 101 - 111
Main Authors 齋藤, 真由, 長谷川, 士朗, 北澤, 浩美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 30.06.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.34.101

Cover

More Information
Summary:東京都保健医療公社荏原病院では,平成25年に多職種による「口腔・嚥下ケアチーム Oral and swallowing Care Assistance Team(O-CAT)」を設立した。チーム設立から5年が経過し,院内でチームの存在も確立しつつある。活動内容は多岐にわたり,摂食嚥下状態の評価や診断,それに基づく食事介助方法や姿勢調整などのケア方法,食形態の選定や栄養指導,摂食嚥下機能回復のためのリハビリテーションなど,各職種が専門性を発揮しながら,包括的に患者の健康回復に尽力している。 チーム介入患者の平均年齢は83.3±10.8歳で多くが高齢者であった。また,チームに依頼のあった患者は口腔内の状態が良好な割合が少なく,患者の多くがチーム初診時には低栄養状態であることがわかった。チーム介入後は,疾病の回復とともに栄養経路や食形態が安定するなど介入効果もみられた。 さらに,院内教育の一つとして,摂食嚥下機能を簡単に評価できる口腔ケアチャート用紙を作成し,実際に病棟看護師に利用してもらったところ,病棟看護師ではこのような手順書を使用することで,日々のケアにおいてさらに目的意識をもてるような意識変化を促すことができた。 今後は,摂食嚥下障害患者の対応方法などを院内だけでなく院外にも発信し,摂食嚥下障害を抱える患者だけでなく,患者予備軍,そしてその周囲の家族や地域スタッフなどにも浸透するような活動を行っていくことが必要であると考えている。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.34.101