オーラルフレイルに対する自覚度合と口腔機能低下症の検査結果の相違に関する臨床的検討

口腔機能の軽微な低下(オーラルフレイル)の放置により,要介護状態に陥る可能性があるため,早期に発見することが重要となる。 本研究では,佐賀県の一地域歯科診療所を受診した患者52名(男性23名,女性29名,平均年齢:71.0±12.4歳)を対象とし,オーラルフレイルの自覚度合と口腔機能低下症の検査結果の相違について検討した。 口腔機能低下症を認めた者は17名(32.7%)で,そのうちオーラルフレイルを自覚していない者は12名(23.1%)であった。オーラルフレイルの自覚度合との口腔機能低下症の検査結果との相違に関する要因は明らかにできなかったが,口腔機能低下症と年齢,要介護度,咬合支持域,身体的...

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Published in老年歯科医学 Vol. 36; no. 1; pp. 53 - 64
Main Authors 靏岡, 祥子, 山下, 佳雄, 高守, 史子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 30.06.2021
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.36.53

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Summary:口腔機能の軽微な低下(オーラルフレイル)の放置により,要介護状態に陥る可能性があるため,早期に発見することが重要となる。 本研究では,佐賀県の一地域歯科診療所を受診した患者52名(男性23名,女性29名,平均年齢:71.0±12.4歳)を対象とし,オーラルフレイルの自覚度合と口腔機能低下症の検査結果の相違について検討した。 口腔機能低下症を認めた者は17名(32.7%)で,そのうちオーラルフレイルを自覚していない者は12名(23.1%)であった。オーラルフレイルの自覚度合との口腔機能低下症の検査結果との相違に関する要因は明らかにできなかったが,口腔機能低下症と年齢,要介護度,咬合支持域,身体的フレイルの関連が示唆された。口腔機能低下症を認めた群において,聖隷式質問紙,RSST検査それぞれの自覚症状と検査結果の一致率が異なっていたことから,嚥下機能の評価は聖隷式質問紙に加えてRSSTなどの客観的評価を行うことが望ましいと考えられた。今後,症例を増やすとともに検査内容を改善するなどし,さらに検討する必要があると考えられた。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.36.53